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平成20年7月 第2323号(7月9日)

教育振興基本計画 教育投資の数値目標無し
  閣議決定「歳出削減」方針を維持

 政府は、去る七月一日、国の教育政策の今後一〇年間を通じて目指すべき教育の姿や五年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策を定める「教育振興基本計画」を閣議決定した。四月の中央教育審議会答申『教育振興基本計画について〜「教育立国」の実現に向けて〜』に基づいて、文部科学省は同計画の原案をつくり、教育投資の規模について「今後一〇年を通じて、OECD諸国の平均である五・〇%を上回る水準を目指す」などと盛り込んだが、歳出削減を目指す財務省の主張が通り、閣議決定された同計画では「教育投資」や「教職員定数」などの数値目標は姿を消した。また、私学助成についても「充実」から「総合的な支援」などの表現にトーンダウンした。今後の教育施策は文科省の毎年の予算獲得に期待することになった。同計画の構成は次のとおり。(3〜6面に全文掲載

 e第1章/我が国の教育をめぐる現状と課題
 教育の果たすべき使命を踏まえ、改正教育基本法で新たに明記された教育の目標や理念の実現に向け、改めて「教育立国」を宣言し、教育を重視しその振興に向け社会全体で取り組む。
 e第2章/今後一〇年間を通じて目指すべき教育の姿
 OECD諸国など諸外国における公財政支出など教育投資の状況を参考の一つとしつつ、必要な予算について財源を措置しつつ、教育投資を確保していく。
 e第3章/今後五年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策
 基本的方向@「社会全体で教育の向上に取り組む」、A「個性を尊重しつつ能力を伸ばし、個人として、社会の一員として生きる基盤を育てる」、B「教養と専門性を備えた知性豊かな人間を養成し、社会の発展を支える」、C「子どもたちの安全・安心を確保するとともに、質の高い教育環境を整備する」との基本的方向に基づき、七七項目にわたる施策を体系化し、それらの施策の中で特に重点的に取り組むべき事項(確かな学力の保証、豊かな心と健やかな体の育成、教員が子ども一人一人に向き合う環境づくり、手厚い支援が必要な子どもの教育の推進、地域全体で子どもたちをはぐくむ仕組みづくり、キャリア教育・職業教育の推進と生涯を通じた学び直しの機会の提供の推進、大学等の教育力の強化と質保証、卓越した教育研究拠点の形成と大学等の国際化の推進など)を明示。
 e第4章/施策の総合的かつ計画的な推進のために必要な事項
 関係者の役割分担・連携協力、教育に対する財政措置とその重点的・効率的な運用、情報の収集・発信と意見等の把握・反映など。

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