平成21年2月 第2349号(2月18日)
■苦境の時こそ変革のチャンス
明けましておめでとうございます。謹んで新年のお祝いを申し上げます。早いもので、私自身、今年で六度目の年男を迎えました。一般的に牛と言えば、牛歩という言葉に代表されるように、鈍感、鈍重、鈍足など、あまりパッとしないイメージが強いのですが、私の思う牛は、力強く一歩一歩進み、どんな悪道でも諦めない粘りと根性があり、一方では澄んだ目のごとく優しさと包容力を併せ持つ頼りになる存在であります。米国発の世界同時不況の影響で、日本全体が閉塞感に包まれ、我々が身を置く教育界にも暗い影を落としている昨今、果たして私が思う牛男の持ち味が発揮できるか、まさに正念場の年になると思っています。
昨年一年間を振り返りますと、なぜか苦労したことばかりが印象に残っています。なかでも、就職活動中の学生諸君にとって、売り手市場から一転、受難の年になったことがあげられます。年末には内定取り消しのニュースが広く報じられ、本学園が設置する大阪工業大学、摂南大学、広島国際大学でも数件の被害が発生しました。いくら会社側の経営事情とは言え、大切なご息女をお預かりしている立場の人間としては、責任を痛感するとともに、その学生の気持ちを考えますと無念な思いで一杯になりました。さらに、大阪府では橋本改革の名のもとで私学助成金が大幅に削減され、最近では公立高校と私立高校の募集人員比率「七対三」について、公立高校の割合を増やせないかの検討がされるなど、学園グループの常翔学園高等学校、常翔啓光学園中学校・高等学校も他校同様に苦境にたたされ、経営的にも大変厳しい年となりました。この社会環境がすぐには好転しないことを考えますと、私が担う経営責任はさらに重大であり、一層身の引き締まる思いがしているところです。
本学園は、二〇一二年に創立九〇周年を迎えます。私立大学を取り巻く環境はますます厳しくなると思われますが、苦難を乗り越えるために努力することは、変革のチャンスととらえ、全身全霊、学園発展のために力を尽くしたいと思っています。また、一昨年には日本私立大学協会の常務理事という重職を拝命いたしました。微力ではありますが、加盟大学の発展のために邁進する所存ですので、何卒ご高配を賜りますようよろしくお願い申し上げます。