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平成21年2月 第2349号(2月18日)

中教審総会 社会総がかりの教育を 第5期会長に三村明夫氏選任
  産業界・各省庁等との連携も図る

 文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会の第六九回総会が去る二月十日に開かれ、第四期の山崎正和前会長に代わって三村明夫新会長((社)日本経団連副会長、新日本製鐵(株)代表取締役会長)が選出されたほか、第五期に引き継がれる前期からの審議状況の報告が行われた。また、開会に当たり塩谷 立文科大臣は「経済情勢等は厳しいが将来を担う人材育成のために、国民全体でしっかりと取り組んでいきたい」などと挨拶するとともに、先頃取りまとめた『「心を育む」ための五つの提案』などについても触れた。

わかり易いデータを共有し、強力に推進

 文科大臣の挨拶に続いて新会長に選任された三村会長は「前期から四つの継続審議事項をいただいている。教育振興基本計画のフォローとともに取り組んでいきたい」と述べ、審議に当っては「委員全員が共通認識の持てるようなわかり易いデータ整備、さらに、社会総がかりの教育を行っていくためには、産業界や他省庁等との連携も欠かせない」などと強調した。
 会議では、第五期の初会合ということで委員全員からの意見が述べられた。「一人ひとりの子どもの将来を見据えて議論したい」「ここ数年は色々な意味で教育の正念場と思われる。ストレートな意見を出し合っていきたい」「教育現場の声に耳を傾けるとともに、社会との適切な距離間をもって臨みたい」「子どもの教育には親の力を引き出すことも必要」「町づくり、人づくりには、地方愛に燃えた若者を育てるような施策を検討したい」など多様な意見が相次ぎ、これらの意見を受けて塩谷大臣は、「貴重なご意見を伺った。昨今の厳しい経済情勢の中、資源のない我が国は人材こそ重要な資源であり、社会全体で取り組んでいきたい。子どもたちが好奇心やチャレンジ精神を持てるようにすることが、教育の使命であるとも言える」などと語った。
 なお、第四期からの継続審議事項は次のとおり。
 ▽新しい時代に求められる青少年教育の在り方について(平成二十年四月諮問)
 スポーツ・青少年分科会において、(1)これからの青少年教育の意義・役割、(2)青少年教育における国、地方、民間の役割と連鎖、(3)青少年施設の在り方、などについて審議中。
 ▽小・中学校の設置・運営の在り方、学校・教職員の在り方及び教職調整額の見直し等について(平成二十年六月、十月審議要請)
 初等中等教育分科会において、(1)小・中学校の設置・運営の在り方、(2)学校段階間の連携・接続等、(3)不登校の児童生徒への支援、(4)学校・教職員の在り方及び教職調整額の見直し等、について審議中。
 ▽中長期的な大学教育の在り方について(平成二十年九月諮問)
 大学分科会において、(1)社会や学生からの多様なニーズに対応する大学制度及びその教育の在り方、(2)グローバル化の進展の中での大学教育の在り方、(3)人口減少期における我が国の大学の全体像、などについて審議中。
 ▽今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(平成二十年十二月諮問)
 同総会直属のキャリア教育・職業教育特別部会を設置し、(1)学校から社会・職業への円滑な移行に必要な基礎的、汎用的能力の明確化と体系的な育成、(2)後期中等教育、とりわけ高等学校における職業教育の在り方、(3)高等教育における職業教育の在り方、などについて審議中。
 【第五期の委員】
 (会長)▽三村明夫
 (副会長)▽梶田叡一(兵庫教育大学長)、▽田村哲夫((学)渋谷教育学園理事長、渋谷教育学園幕張中・高等学校長)
 (委員)▽安彦忠彦(早稲田大教育・総合科学学術院特任教授)、▽安西祐一郎(慶應義塾長)、▽飯野正子(津田塾大学長)、▽石井正弘(岡山県知事)、▽岩ア洋子(滋賀県栗東市教育委員会教育長)、▽宇津木妙子(ルネサス高崎女子ソフトボール部シニアアドバイザー)、▽浦野光人((社)経済同友会副代表幹事、(財)産業教育振興中央会理事長、(株)ニチレイ代表取締役会長)、▽衞藤 驕i東京大大学院教育学研究科教授)、▽大原正行(東京都教育委員会教育長)、▽大日向雅美(恵泉女学園大大学院人間社会学研究科教授)、▽大嶺せい子(にしみたか学園三鷹市立第二中学校長)、▽岡島成行(大妻女子大家政学部教授)、▽小川正人(放送大教養学部教授)、▽荻上紘一((独)大学評価・学位授与機構教授)、▽加藤裕治((財)中部産業・労働政策研究会理事長、全日本自動車産業労働組合総連合会顧問)、▽金子元久(東京大大学院教育学研究科長)、▽菊川律子((独)国立青少年教育振興機構理事)、▽郷通子(お茶の水女子大学長)、▽小嶋善吉(静岡市長)、▽小松節子(小松ばね工業(株)代表取締役)、▽小宮山 宏(東京大総長)、▽篠原文也(政治解説者、ジャーナリスト)、▽曽我邦彦((社)日本PTA全国協議会会長)、▽寺島実郎((株)三井物産戦略研究所長、(財)日本総合研究所会長)、▽菱沼典子(聖路加看護大看護学部教授)、▽前田 穰(宮崎県綾町長)、▽増田明美(スポーツジャーナリスト、大阪芸術大教養課程教授)〈以上三〇名、任期は二年。委員は五〇音順〉

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