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平成23年11月 第2462号(11月16日)

企業の寄付、全額損金算入
  私学事業団の「受配者指定寄付金」制度例
  

 日本私立学校振興・共済事業団は「受配者指定寄付金」業務を行っている。これは企業・法人から同事業団が寄付金を受入れ、これを寄付者が指定した学校法人へ配付する制度であり、全額損金算入される。同事業団助成部寄付金課の高村雅一課長は「もっと受配者指定寄付金制度を活用してほしい」と呼びかける。

 同制度自体は昭和46年6月8日大蔵省告示第62号によって、昭和40年4月30日大蔵省告示第154号に追加されて法令化されたが、募集期間に制限があったり、寄付者からは直接同事業団に入金ができなかったり、提出書類も多数あったりと手続きが煩雑だった。しかし、平成16年の文部科学省通知等により簡素化。学校法人にとっても、寄付者にとっても利用しやすい制度へと移行した。
 企業・法人については、私立学校に直接寄付をする「特定公益増進法人に対する寄付金制度」を利用した場合、損金算入額には限度があるが、受配者指定寄付金制度を利用することで(つまり、寄付金を事業団に経由させることで)私立学校への寄付額を全額損金算入(上限なし)できるようになる(個人寄付については本年度に「税額控除制度」がスタートした)。
 同制度を利用して、昨年度は企業・法人から130億円を超える寄付金が集まっており、校舎建設や教育研究設備の充実、奨学基金、寄付講座の開設などに活かされている。圧倒的に大学法人への寄付が多く、金額こそは不況の影響もあり減少傾向にあるが、利用する学校法人の件数は確実に増えているという。
 具体的な申請手続きは次のとおりである。
●企業・法人に「寄付申込書」を書いてもらい、学校法人を通じて提出し、事業団の指定銀行に寄付金を振り込む(学校法人がいったん受け取ってからでも、企業から直接でも可)。
●事業団より「寄付金受領書」が発行されるため、寄付者に送付する。
●教育研究、施設設備、奨学金等事業などへの支払いが必要な際には、「寄付金配付申請書」とともに、何にいくら必要なのか、寄付事業の概要を事業団に提出する(だいたい一カ月程度かかる)。
●事業団から寄付を受け取ったのちには、年度末を過ぎて実績報告書を提出し、寄付事業が計画通りに実行されたことを報告する。
 当然、寄付金受入れのための審査料、事務手数料は一切かからない。
 この手続きのポイントについて同事業団助成部寄付金課の高村課長から話を聞いた。
 「重要なことは、「特定の企業・法人により特別な利益を受けたものではない」と分かるよう、また、広く一般に募集されていることが分かるよう、「募金趣意書」を予め作成することです。また、何か事業を発注する見返りに寄付を受ける、研究費に寄付を出して、成果の見返りを求める、ということもできませんし、「社長が卒業生なので」という個人的理由は「社長の個人寄付」と税務署にみなされる可能性があります。例えば、社長個人が10万円、企業・法人として100万円、と分けて私立学校に寄付をする、という体裁が必要な場合もあります。1000万円以上の寄付については、学校法人に「見返りをもらっていない」ことの確認書類を出して頂きます。
 とはいえ、卒業生がいるなど繋がりや縁がある企業・法人に募金活動をする事例が多いようです。何も繋がりのない企業に行って「寄付をして下さい」とお願いするのは難しいと思いますので…。
 是非ともご活用下さい。」
 一連の書類様式などについては、事業団のホームページからダウンロードができる。 http://www.shigaku.go.jp/s_kihu_menu.htm


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