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平成23年1月 第2429号(1月26日)

平成23年 年頭所感
 地域の繁栄は私立大学とともに


 中村量一副会長(中村学園大学理事長)

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 今年は平成3年の「設置基準の大綱化」以来20年となります。そしてその翌年には18歳人口のピークを迎え、以降18歳人口は一貫して減少し続けています。当時このことは当然のこととして分かっていたことでした。しかし分かっていながら、当面は臨時定員増の恩恵もあり経営は安定していたため、早くから学内の摩擦を恐れず教育改革に踏み込んだ大学は多くはありませんでした。ほとんどの大学が、現実に大幅な志願者減少に接して後、真剣に取り組みを始めたのではないでしょうか。
 今日の高等教育の状況もまた、20年後に振り返った時、当然のこととして更なる変革に着手すべき年だと言われることでしょう。何故なら、その理由の一つは日本経済の衰退にあります。昨年日本のGDPは中国に抜かれ世界第3位になりました。加えて韓国、インド、ブラジル等の経済力の向上には著しいものがあります。次に政治の混乱が挙げられます。昨年1年間の政治の混迷ぶりは筆舌に尽くしがたいほどのものがありました。さらに地球が小さくなっていくように感じるほどの急速なグローバル化です。いずれもこれまでとは違った新しい時代の人材を必要としています。今日ほど高度な人材育成すなわち高等教育への期待が高まっているときは無いのではないでしょうか。今こそ当然のこととして新たな教育改革に着手すべき時だと確信いたします。
 そして、これからの教育改革は、これまでの中央目線の全国画一的な教育改革ではなく、地域目線のそれぞれの地域の事情に合った人材育成のための教育改革が必要だと思います。そのためには今まで以上に地方公共団体、加えて地方財界との連携、新しい産学官連携が必要でしょう。九州について言及するならば今後の道州制、九州道(仮称)を見据えた動きも必要でしょう。特に今年は待望の九州新幹線が全線開通し、鹿児島博多間が1時間19分で結ばれる記念すべき年です。さらに台頭する東アジアとの関係は九州の地理的有利性から大きなチャンス到来と言えます。九州からの距離(熊本から)では上海と東京が同じ、ソウルは名古屋と同じ、台北は札幌よりも近く、北京は札幌と同じです。沖縄からは北京を除く3都市とはさらに近いのです。これらの国々の大学だけではなく、産学官にわたる密接な交流を構築できるならば、九州は今後の日本の繁栄の牽引車となることでしょう。そのためにも東アジアで活躍できる人材の育成は九州の使命と言っても過言ではないと思います。
 新たな年を迎え、九州支部は「協調と競争で共生する」をモットーに前進したと思います。本年もよろしくお願い申し上げます。

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