平成23年1月 第2429号(1月26日)
■私大協会 関東地区連絡協議会
新春講演会・賀詞交歓会開く
(株)小堀鐸二研究所代表取締役社長
五十殿氏が「最新の耐震技術」を講演
日本私立大学協会の関東地区連絡協議会(大沼 淳会長、22年度議長=小田一幸東京造形大学理事長)は去る1月19日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において、平成23年「新春講演会」及び「新年賀詞交歓会」を開催した。講演会には、同協議会所属の128大学から62大学100名が出席した。
開会にあたり、大沼会長と小田議長がそれぞれ挨拶に立ち、昨年秋、同協議会の所属大学が中心となり、千葉県で開催された同協会秋季総会への協力に対し、感謝の意を表した。また大沼会長はこの度の税制改正について、学校法人等に対する個人からの寄附の税額控除の導入は画期的なことであると評価するとともに、日本経済や大学が抱える課題に触れ、「21世紀の私立大学の在り方を探っていかなくていけない」と述べた。
続いて、小出秀文事務局長が平成23年度の予算案と税制改正のポイントを概説した上で、昨年12月1日に日本私立大学団体連合会が開催した「私立大学振興に関する緊急大会」への参集に対し、お礼を述べた。
引き続き講演に移り、株式会社小堀鐸二研究所の五十殿侑弘代表取締役社長が登壇。「社会の安心・安全に役立つ最新の耐震技術動向―迫り来る巨大地震に備えて―」と題し、建物の耐震補強や最新の制震装置について解説した。
日本の国土は、世界の陸地の0.25%であるが、世界で発生する震度6以上の地震の23%が起きている地震大国。同氏は、日本は大地震の発生率が高いため、耐震診断や補強など、震災への備えが必要であると述べた上で、既存の校舎等への耐震補強として、全国の小中学校などですでに施工されているパラレルフレーム構法を紹介した。この工法は従来に比べて耐震性能が高く、景観や眺望を確保できる。
また、同氏は気象庁の「緊急地震速報」システムが用いている距離減衰式は、揺れの伝わる経路や地盤条件が考慮されていないことを指摘。伝播経路や地盤の特性を考慮した震度予測のシステムが必要であると述べた。
最後に大沼会長は、「大地震発生の際、生徒や学生、職員に対し、屋外への避難を指示すればよいのか、屋内に留まるよう指示すればよいのか、適切な判断ができるよう、各大学は自校の校舎や周囲環境を踏まえた緊急時の対策を講ずる必要がある」と述べた。
講演終了後の新年賀詞交歓会には、文部科学省から河村潤子私学部長のほか、幹部も出席して、和やかな懇談となった。