平成22年7月 第2407号(7月7日)
■新刊紹介
「世界をちょっとでもよくしたい」
兵藤智佳・岩井雪乃・西尾雄志 著
行間から♪大なる使命を担ひて立てる われらが行手は窮り知らず♪「都の西北」の一節が聞こえてきそうだ。
自分も、ここに出てくる岩手県・田野畑村の「思惟の森」の活動に一期生として参加。学校の体育館に寝泊り、真夏の下草刈りでへとへとに。
WAVOC(早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター)で、ボランティア活動に取り組む学生の物語。WAVOCは科目とプロジェクトが連動。授業は半年から1年の履修(2単位)だが、プロジェクトは継続する。
▽ボルネオでの「しあわせ」の取組み▽DV(ドメスティックバイオレンス)の啓発映像の制作▽中国のハンセン病快復村での取組み―3つのプロジェクトを取り上げる。志ある学生は、教室の授業では学べない多くのことを体得した。
〈村では、東京で身につけたモノが削ぎ落とされる感覚がありました。そして、疑問が生れてきたんです。私は、大事なものを大事にできていたのかって〉(ボルネオ) 〈「暴力を振るうなんて。その人がどこかおかしい。逃げない女性が悪い」という言い方をされることがどれだけ被害者たちを追い詰めているのか〉(DVの啓発映像)
〈(高校のときは、目の前の人と向き合えなかった。)大学生になって、毎日を同じ空間で過ごしたことで、言葉ではなく、目の前にいる人たちに思いが行った〉(中国のハンセン病快復村で)
3つの物語は担当教員が書いた。客観性から言えば、それでいい。でも、学生による手探りの、手触りのボランティアの描写を見たかった。
「世界を ちょっとでも よくしたい」 兵藤智佳・岩井雪乃・西尾雄志 著
早稲田大学出版部
п@03―3203―1551
定価 1000円(税込)
早稲田大学出版部
п@03―3203―1551
定価 1000円(税込)