平成22年3月 第2395号(3月24日)
■学習させるのはなぜか
IDE大学協会がフォーラム
IDE大学協会、千葉大学、東京大学大学経営政策研究センターは、去る3月9日、東京・一ツ橋の学術総合センターにおいて、高等教育フォーラム「学習させる大学」を開催した。
「学習させる大学」が求められる背景やその意味、構築法や政策について、金子元久東京大学教授、井下 理慶應義塾大学教授、小松親次郎文部科学省大臣官房審議官が講演、その後、「日本型大学教育モデルの構築」と題したシンポジウムが行われた。
まず、金子教授が高等教育の質的転換により大学と学生のすれ違いが起きていることなどを解説。
日本では授業での学習よりも資格試験や卒論・卒研による学習時間が多い。また、大学教育改革の問題点は、学習の三領域(専門知識・技能、コンピテンス、人格的な一貫性)の育成の有機的な関連がないことで、一貫性ある学習経験が必要だと述べた。最後に、「各大学によって何が必要かを見極めなければならない」と締めくくった。
次に、井下教授は、「学習させるのは、なぜか?」と問いかけ、学習させる大学の概念を定義。
学生の学習支援のため、職員が学生支援を、教員が学習支援をし、執行部が教員と職員を支援する仕組みを図説し、事例として学習型図書館を挙げた。最後に、執行部の役割が重要で、カリキュラム開発への支援や方向性、理念、価値の提示、財務基盤の確保などの期待を挙げた。
小松審議官は、中教審答申「我が国の高等教育の将来像」から始まり、「新時代の大学院教育」「学士課程教育の構築に向けて」、そして、現在の質保証システムの議論に至る、高等教育関係の国策について解説した。
その後のシンポジウムでは、会場との質疑応答が行われ終了した。