平成22年3月 第2395号(3月24日)
■文科省
「スポーツ立国戦略」策定へ
トップアスリートからヒアリング
文部科学省は、3月10日、省内の会議室において、「スポーツ立国戦略」の策定に向けた検討のスタートに当たり、スポーツ関係者からのヒアリングを行った。
当日は、鈴木 寛副大臣をはじめ、高井美穂、後藤 斎両大臣政務官が出席して、朝原宣治氏(大阪ガス(株)・北京オリンピック陸上競技メダリスト)、平尾誠二氏(元ラグビー日本代表監督)、古田敦也氏(前東京ヤクルトスワローズ選手兼任監督)の三氏を迎え、意見を聞いた。
はじめに、鈴木副大臣が、初めてスポーツ振興法が制定されて約50年になる。その後改正はされているが、改めて再構築を図りたい。今日は、そのキック・オフで、今後の議論のベースとなる考え方を検討していきたい。日本を代表する方々がスポーツコミュニティで裾野を広げ、トップアスリートに触れながら青少年が将来のライフワークにまで踏み込んでいけるような形をめざしたい」と挨拶した。
これを受けて、三氏より次のような意見が出された。
朝原氏「裾野を広げることとトップアスリートを育てることは共にやることが大事。国際競技力向上のために、一番“のびしろ”のある19〜20歳ぐらいの選手へのサポートが重要。トップアスリートを目指して、夢破れてもセカンド・キャリアとして活躍できる受け皿を用意する必要がある。そうしないと継続できない」
平尾氏「スポーツは、やればできるもの。主体的に取り組んだ時の達成感は次につながる。そういうキッカケを与えることが大事。また、政策として支えていくことも大事だが、それ以上に、スポーツが人間形成に本当に役に立つという“コアバリュー”のコンセンサスが得られるかどうかがカギである」
古田氏「スポーツの価値を再認識するためにスポーツ庁を考えてみたらどうか。先の冬季オリンピックでもメダルを取った時の視聴率は40%を超えている。我々は胸ふるわせた。小・中・高と学校のクラブ活動に入ると、他のクラブに変わらないが、地域のスポーツクラブでは色々なスポーツをやったほうがよい。また、トップレベルまで学んできたことが活かせないのは“もったいない”と思う。セカンド・キャリアを生かせる機会が求められるし、その活動が裾野をさらに広げることにつながる」
などとそれぞれに歩んだ道を振り返り感想を述べた。
その後、「近年は国体(特に冬季)の受け手が無くて困っている」に対して、競技の見直しや種目間の連携、さらにはクラブ対抗戦なども考えてみること。また、「学校でのスポーツで大事なことは」には、朝皆で体を動かしてから勉強に入るような生活習慣をつくるのも一つの方法、そのほかセカンド・キャリアとして大学等にトップアスリートに講師等として入ってもらい、人間形成に良い影響を与えてもらうとともに、学生を引きつけることもできるのではないか、といった意見も出された。
最後に、三氏からは、「種々のスポーツの横のつながりが大事」「やはり競争させること!」などと述べられた。
今後、トップレベルの選手や指導者の他、諸外国のスポーツ政策に詳しい有識者やスポーツ関係団体からのヒアリングも行い、「夏までに一定の方向を出したい」と鈴木副大臣は結んだ。