平成21年9月 第2374号(9月23日)
■COEシンポ
なぜギャンブルに?
玉川大 脳科学研究所
去る9月12日、日本科学未来館(東京都江東区)にて、玉川大学グローバルCOEプログラム「社会に生きる心の創成」主催のシンポジウム、「ギャンブル、経済、脳科学」〜人間はなぜリスクを伴う行動を選ぶのか?〜が開催された。
玉川大学脳科学研究所は、平成20年度の同プログラムの採択以来、「社会に生きる心」の脳科学的理解のために、@人間の行動の経済的合理性と不合理性、A倫理観とモラル、B人間と人間を結びつける対人関係、C前述@〜Bの脳機能を実現する遺伝子・分子から神経回路に至る物質的基盤の四つの角度から取り組んできた。
同プログラムの取組の一環として、これまで試みられた経済学や心理学等のアプローチとは異なる、脳科学による「ひとはなぜギャンブルにはしるのか」、その意志決定のメカニズムを探りながら、同シンポジウムでは新たな視点が示された。
作家でもある高橋源一郎明治学院大学教授の「人間にはなぜギャンブルが必要なのか?」というギャンブラーの視点から問題提起を受け、坂井克之東京大学大学院准教授が脳科学から、西條辰義大阪大学社会経済研究所教授が神経経済学から、それぞれに人間の意志決定のメカニズムに関する考察を述べた。
同プログラムの拠点リーダーである坂上雅道玉川大学脳科学研究所教授の司会によりパネルディスカッションが組まれ、「果たしてギャンブルは社会に必要なのか」との問いかけに、各氏が答えに窮する場面もあった。