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平成21年8月 第2371号(8月26日)

新型インフル対策の講演も
  私大環境保全協が研修会開催

 私立大学環境保全協議会(会長:西山 繁慶應義塾大学教授)は、去る8月6・7日の両日、岩手県の岩手医科大学で、第24回夏期研修研究会を開催した。130名を超える参加者が地球温暖化問題を根底とした、私大としての環境保全の取組等について、講演、グループ討議を行った。

 研修に先立ち、西山会長の開会挨拶、続いて開催校の岩手医科大学より大堀 勉理事長が歓迎の挨拶に立った。
 その後、角田文男岩手医科大学名誉教授による「地球温暖化による人の健康および生存環境への影響を考える」と題した特別講演が行われた。地球温暖化のメカニズムから、人の健康への影響、感染症のリスク、食糧生産への影響、沿岸域への影響等、温暖化による可能性が、非常に高いことをデータで示した。問題の重大さを真摯に認識し、二酸化炭素削減のための行動をすぐに起こさなくてはならないと警鐘を鳴らした。
 研修講演では、立身政信岩手大学教授・保健管理センター長が「大学における喫煙対策について」と題し、同大構内の禁煙化への取組事例を紹介した。社会の趨勢と学内健康の観点から、同大構内・敷地内を分煙から全面禁煙へと踏みきった。職員主導で始まったものの、やがて学生が取組むことからアイディアが生まれ、学内美化、さらに地域の美化へと運動が広がる様子も紹介した。
 続いての講演は、櫻井 滋岩手医科大学准教授・感染症対策室長が「新型インフルエンザに対する大学の脆弱性と対策」と題して、新型インフルエンザの感染拡大防止対策、ウイルスの特性についての解説、院内感染を想定して対応する事例や、新型インフルエンザへの対応スキームを紹介した。同大では学長を頂点とした新型インフルエンザ対策委員会を編成、意志決定を迅速に行えるよう整えている。感染拡大のピークが過ぎるまで、感染経路を物理的・社会的に遮断することが有効。私大は各大学の規模等に応じた学校・学級閉鎖の基準を独自に作るべきで、感染経路を遮断しながらも、情報伝達の経路は遮断しないシステムを構築することなどの対策が必要である述べた。
 休憩の後、グループ討議に移り、四つのテーマごとにグループに別れて、情報・意見交換、さらに議論を深めた。
 二日目は、前日に引き続いてグループ討議、その後に、研修講演会で「青森・岩手県境の不法投棄問題について」と題して、岩手県環境生活部産業廃棄物不法投棄緊急特別対策室の吉田篤再生・整備課長が、今なお現状回復の作業が続く同地の状況等を訴えた。汚染された土壌・地下水を撤去・回復するには、いかに大規模で時間がかかる作業かを、技術的な解説も含めて詳細に述べた。
 その後、グループ討議の総括が行われ、一旦閉会の挨拶で二日間の研修が終了、午後から見学会へと希望者は繰り出していった。

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