平成21年3月 第2352号(3月11日)
■学習意欲向上、教職協働テーマに 東海地区で大学教育改革フォーラム
大学教育改革フォーラムin東海2009実行委員会とFD・SDコンソーシアム名古屋は、去る三月七日、名古屋大学において、第四回目となる「大学教育改革フォーラムin東海2009」を開催した。
同フォーラムは、学生の学習支援を充実するため、教職員、あるいは、東海地域の大学間での連携を強化し、自由に語り合える場を設けるために開催されている。FD・SDコンソーシアム名古屋は、名古屋大学、中京大学、南山大学、名城大学が共同運営する組織であり、四大学が相互協力することでFD・SDを充実・発展させることを目的としている。このたびは、フォーラム開催に同コンソーシアムを迎え、近隣の各大学の教職員にも参加しやすい条件を整えた。
はじめに、ハンス・ユーゲン・マルクス南山学園理事長より、「東海地域の大学を元気にする教育改革とは」と題した基調講演があり、産業界からの要求、日本の国際競争力等について言及しながら、「大学の教育も改革が求められているが、学生のうちに、何か「やった!」という達成感・成功感を味あわせることが大事だ。東海地域の大学を一層元気にするには、大学間の連携強化が役に立つ」と述べた。
続いて、@大学認証評価への対応、A学習意欲を高める授業上の創意工夫をテーマに、セッション1として、それぞれ三名の発表者が事例を報告、その後会場を交えての質疑応答となった。@では、日本高等教育評価機構など三つの認証評価機関の評価を受けての対応について、Aでは、体験学習やICT活用教育、学内の統合的情報管理システムからいかに学生の自主的な学びを引き出すかについて報告・討論が行なわれた。
昼食後のセッション2では、B高校は大学をどう見ているか、CFD・SDのノウハウをどう共有するかの二テーマで議論が行なわれた。Bでは、名城大学や中京大学の附属高等学校の進路指導担当者等が高大連携の実情などを報告した。Cでは、昨年十月に米国で開催された高等教育専門組織開発ネットワーク(POD)の大会に参加した三名より体験報告が行われた。
また、二つのテーマに加えて、@現代の大学生の“悩み”をめぐる問題、A留学生の悩みにどのように対応すればよいかについてミニレクチャーがあった。
最後のパネルディスカッションでは、「授業時間外の学習をどう支援するか」というテーマが設定され、慶應義塾大学総合政策学部井下 理教授、愛知淑徳大学コミュニティ・コラボレーションセンター神崎裕子氏、名古屋工業大学なんでも相談室の山下啓司教授がパネリストとしてそれぞれ発表した。
井下教授は、特に授業時間外の「課外の」活動での学習に注目し、授業時間での学習と対比させながら論じた。また、神崎氏は、大学の内外での学習により深い理解を与えるコミュニティ・サービス・ラーニングを展開しつつ、学生の自発的な活動としての地域活動やボランティア活動の支援等を行なっている事例を紹介した。最後に山下教授は、学生による学生支援ピアサポートシステムを、学生にとって居心地のよい空間を演出するなどで上手に機能させるための工夫などについてエピソードを踏まえて解説した。
その後、参加者を交え、報告内容などについて詳細なディスカッションが行なわれた。終了後、会場を移して懇親会があった。
なお、会場ではポスターセッションのコーナーも併設され、大学の取組を紹介。参加者たちは様々に質問をぶつけていた。