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平成21年2月 第2350号(2月25日)

大学分科会 5部会・2委員会体制で審議 第5期の第1回大学分科会開く
  質保証システム部会、大学規模・大学経営部会など新設して推進へ

 第五期中央教育審議会の大学分科会の第一回会合が去る二月二十日、文科省内の講堂で開かれ、分科会長には安西祐一郎慶應義塾長が前期に引き続き選出されたほか、委員・臨時委員・専門委員三一名が決まった。同分科会の主要審議事項は、前期からの引き続きとなる「中長期的な大学教育の在り方」についてであり、当面、五つの部会(新設三部会=質保証システム部会、大学規模・大学経営部会、大学行財政部会のほか、大学院部会、大学教育の検討に関する作業部会)と二つの委員会(法科大学院特別委員会、認証評価機関の認証に関する審査委員会)の下で審議していくことになった。

引き続き「中長期的な大学教育の在り方」審議

 始めに、前期の大学分科会から引き続き再任された安西分科会長は、前期に引き続いて中長期的な視点からの大学教育の在り方について、委員の協力の下で実のある議論をしていきたいと挨拶した。
 続いて、文科省のコ永^n保高等教育局長が「大学が社会を支えるシステムとして機能するように質の向上に重きを置いて改革するとともに、一方で、大学の経営問題についての課題にも対応していかなければならない」と挨拶した。
 次に、事務局より、前期までの大学分科会及び各部会等における審議状況の説明が行われた。
 ▽大学分科会=「中長期的な大学教育の在り方について」の審議及び各部会等の審議の集約。
 ▽制度・教育部会=「学士課程教育の在り方について」を答申案審議を終了。
 ▽大学院部会=大学院の実質化や博士課程修了者の進路等の諸課題を審議中。
 ▽大学教育の検討に関する作業部会=「中長期的な大学教育の在り方について」に関する各種調査・分析等を専門的に検討中。
 ▽法科大学院特別委員会=「法科大学院教育の質の向上のための改善方策について(中間まとめ)」を取りまとめ、今後、更に審議。
 ▽留学生特別委員会=「『留学生30万人計画』の骨子」取りまとめの考え方に基づく具体的方策の検討を取りまとめ、留学生交流の在り方について審議。
 ▽高等専門学校特別委員会=「高等専門学校教育の充実について」の答申案を取りまとめた。
 ▽認証評価特別委員会=評価機関の認証審査や認証評価制度及び実施の在り方について審議。
 引き続いて、「中長期的な大学教育の在り方について」の審議経過については柱となっている@多様なニーズに対応する大学制度及びその教育、Aグローバル化の進展の中での大学教育、B人口減少期における我が国の大学の全体像、の三つの事項に関わる論点等が説明された。
 その上で、これら前期の審議も踏まえて、第五期の大学分科会に設置する次の五つの部会と二つの委員会が説明された。

5部会・2委員会設置し作業部会のWGとも連携

 ▽質保証システム部会=設置基準、設置認可審査及び認証評価制度を一体とした質保証システム並びにそれらと公財政支援の関連の在り方に関する部会で、調査審議事項は、大学の機能別分化を前提として、(1)設置基準、設置認可審査、認証評価の三つを一体とした質保証システムの在り方、(2)近年の大学設置認可の状況を踏まえた設置認可制度の改善、(3)学位プログラムを中心とする大学教育の検討を通じた質保証への取組、などである。
 ▽大学規模・大学経営部会=今後の社会人のリカレント教育、高齢者の大学就学及び大学のグローバル化等の動向を踏まえた大学規模の在り方と大学経営に関する部会で、調査審議事項は、大学の機能別分化を前提として、(1)大学の学士課程・修士課程・博士課程の段階別に、必要な、または妥当な収容規模の在り方、(2)健全な大学経営の確保方策、(3)大学間の連携・協働の推進方策、(4)特定分野に関する収容規模、などである。
 ▽大学行財政部会=国公私立大学の在り方とそれに応じた行財政制度及び国際的広がりの中での大学の質保証システムに関する部会で、調査審議事項は、大学の機能別分化を前提として、(1)国公私立大学の在り方、(2)国公私立大学の在り方に応じた大学財政の在り方、(3)大学教育の公的な質保証に関する審議を踏まえた、大学の質保証システムに関する国際的な発信と連携、などである。
 ▽大学院部会=調査審議事項は、大学の機能別分化を前提として、(1)大学院の教育機関としての実質化について、近年の大学院に関わる制度の定着状況及び大学院教育振興施策要綱に基づく施策の効果の検証など、(2)大学院制度について、学位プログラムを中心に再構成することについて、修士課程と博士前期課程の関係についてなど、(3)大学院生や博士課程修了者等への進路や経済的支援、(4)専門職大学院制度の改善方策、(5)大学院に関し、必要な、または妥当な収容規模の在り方(大学規模・大学経営部会との連携・協力により検討)などである。
 ▽大学教育の検討に関する作業部会=調査審議事項は、審議に資するため、各種調査・分析及び論点整理のための専門的な検討を行う。なお、作業部会に具体的な調査、分析及び検討を行うため、複数のワーキンググループを置くこととし、各ワーキンググループは関連する部会と連携する。作業部会はすべてのワーキンググループの審議状況を把握する。
 ▽法科大学院特別委員会=調査審議事項は、法科大学院の制度及び教育の充実のための専門的な事項。
 ▽認証評価機関の認証に関する審査委員会=調査審議事項は、評価機関からの認証の申請に応じて審査を行う。
 次に、初会合ということから、委員全員からの意見が述べられた。
 「日本の大学が国際的に認知されるためには質の保証が欠かせない」「質の向上については、大学教育だけを見るのでなく、中等教育にも目を向ける必要がある」「国公私等の大学間較差が広がるような施策は、高等教育全体にとっていいのだろうか」「今後は、社会人をどうやって大学に迎え入れるかが大事である」「ここ数年、教育サービスが同質化しているが、もっと機能別分化して、それぞれの特色を明らかにしていくことが求められるのではないか」「大学にとって財政問題は極めて重要となっている。ぜひ実のある議論をしたい」など多様で切実な意見が出された。
 なお、各部会等への委員の配属は、分科会長が後日指名することとなった。
 【大学分科会委員】
 (分科会長)▽安西祐一郎(慶應義塾長)
 (委員)▽飯野正子(津田塾大学長)、▽浦野光人((社)経済同友会副代表幹事、(財)産業教育振興中央会理事長、(株)ニチレイ代表取締役会長)、▽荻上紘一((独)大学評価・学位授与機構教授)、▽金子元久(東京大大学院教育学研究科長)、▽郷 通子(お茶の水女子大学長)、▽小宮山宏(東京大総長)、▽寺島実郎((株)三井物産戦略研究所所長、(財)日本総合研究所会長)、▽菱沼典子(聖路加看護大看護学部教授)
 (臨事委員)▽阿部晃一(東レ(株)取締役・研究本部長)、▽有信睦弘((株)東芝顧問、(社)日本工学教育協会常任理事・副会長)、▽今井浩三(北海道公立大学法人札幌医科大学長・理事長)、▽今榮東洋子(慶應義塾大先導研究センター特別教授、総合科学技術会議議員)、▽江上節子(東日本旅客鉄道(株)顧問、早稲田大大学院客員教授)、▽樫谷隆夫(日本公認会計士協会常務理事)、▽河田悌一(関西大学長)、▽木村 孟((独)大学評価・学位授与機構長)、▽黒田壽二(金沢工業大学学園長・総長)、▽小杉礼子((独)労働政策研究・研修機構統括研究員)、佐々木正峰((独)国立科学博物館長)、▽佐藤弘毅((学)目白学園理事長、目白大・短期大学部学長)、▽佐藤東洋士((学)桜美林学園理事長、桜美林大学長)、▽島田尚信(UIゼンセン同盟書記長)、▽水田代(九州大理事・副会長)、▽中込三郎((学)中込学園理事長、全国専修学校各種学校総連合会会長)、▽中西友子(東京大大学院農学生命科学研究科教授)、▽濱田純一(東京大理事・副学長)、▽丸本卓哉(山口大学長)、▽森脇道子(自由が丘産能短期大学長)
 (専門委員)▽井上正仁(東京大大学院法学政治学研究科長・法学部長)、▽川嶋太津夫(神戸大大学教育推進機構教授)、▽白井克彦(早稲田大総長)

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