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平成20年11月 第2340号(11月26日)

地域に評価される大学 GPの成果をどう考えるか
  金沢工業大学

 金沢工業大学(石川憲一学長)は、教育付加価値日本一の大学を目指し、理事、教職員、学生が一体となって工学アカデミアを形成している。大学が所在する野々市町においても、大学と町の強みと弱みをそれぞれ認識した上で連携を行い、大きな効果を上げている。
 町は、生涯学習を通じて地域住民一人ひとりの力が活かせるまちづくりの実践を生涯学習のビジョンとして掲げている。
 これを踏まえ、町の生涯学習課と大学が共に構築した、「地域連携教育プロジェクト」は、住民や店舗、町会、小学校…等地域にある全ての要素が、顧客として位置付けられ、学生は、顧客の課題やニーズの把握から解決策を創出し「行動する技術者」に求められる実践的な問題発見解決プロセスを修得する。
 町はこのプロジェクトを、生涯学習の場として地域住民に展開し、地域住民自らが身に付けた専門知識を活かし、まちづくりに実践的に取り組む、独自の「生涯学習プログラム」として位置づけている。
 教員の教育・研究ノウハウが町に新たな生涯学習実践の仕組みを生み出すと共に、学生・教職員の参画が、地域住民を巻き込んだ生涯学習によるまちづくりのコミュニティ創出へと繋がった。
 具体的に創出されたまちづくりのコミュニティには、@地元小学校PTAと学生が連携した安全安心のまちづくりコミュニティ、A地域のITボランティア制度の確立、B住民が主体となってまちづくりを企画する「カメリアパルの会」の発足、C地域の商店の活性化を目的とした学生主体のプロジェクトチームがある。
 一方、町と大学の教職員との間におけるコミュニティには、@相互の人的・知的資源の相互交流と有効利用を図る連携推進協議会の発足、A「地域連携教育プロジェクト」に関する運営委員会の発足、B地域コミュニティの拠点「情報交流館カメリア」の外部評価委員に大学の地域連携職員が参画などの成果がある。
 このように、地域共創の成果は、学生・地域住民・大学の教職員、町の職員が参画するコミュニティが創出された点にあろう。
 地域住民のアンケートによれば、「町の安全は、町民全体の協力で、成り立っていることを改めて感じた」、「主体は町内会で、町内会単位で活動・取組をまとめ、実践し参加の輪を広げることが大事」といった声があり、プロジェクトへの参画意欲の高さが伺えた。
 また、学生に対するアンケートには、「地域住民と直接ディスカッションすることができ、大変勉強になった」、「相手の立場(住民)に立って考えて解決策を設計することの大切さを知りました」といったコメントが得られるなど、地域住民とのコミュニケーションの場が、大学の実践的な問題発見解決を行う場として機能していることがわかる。
 GPは、「地域連携教育プロジェクト」の実践により、地域連携による教育実践を展開する多くの大学と交流を図ることができた。
 地域連携に特化した形での視察は、年間七件程度その他GP事含む大学の教育・研究全般に対する視察は年間五〇大学を超える。
 これらの交流から得られた情報を基に、大学が最も力を入れた取組が、連携先となる外部機関との調整業務。特に文系大学において、教員の教育・研究実践の中で連携先との強い信頼関係が構築されており、その関係がそのまま教育プロジェクトの効果的な運用に繋がっていることを認識した。
 そこで、大学では教員と職員の連携を強化し、連携先となる外部機関が有するニーズや課題を的確に汲み上げる体制を構築。これにより、比較的スムーズに外部機関との信頼関係が構築でき、なにより学内において教員と職員が連携する中で教育プロジェクトを運営する体制基盤が確立した。

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