平成20年11月 第2340号(11月26日)
■学級担任の理科「好き」9割 「小学校理科教育実態調査」
科学技術振興機構(JST:北澤宏一理事長)と国立教育政策研究所(NIER:近藤信司所長)は、この度「平成二十年度小学校理科教育実態調査」の集計結果(速報)を公表した。概要は次の通り。
小学校で学級担任として理科を教える教員の約九割が理科全般の内容について「好き」と感じている。また、六割以上が児童による観察や実験を週一回以上行っており、科学が日常生活に密接に関わっていることをよく理解していると感じている。そして、同教員の八割以上は児童に自分の考えを発表する機会をよく与えていると感じている。
しかし、学級担任として理科を教える教員の約五割は、理科の指導を「苦手」または「やや苦手」と感じており、この割合は、教職経験一〇年未満の教員で六割を超えている。さらに四割以上の同教員が理科の指導法についての知識・技能を大学時代にもっと学んでおいた方がよかったかに対して「そう思う」と答えており、その割合はやはり教職経験一〇年未満の教員で特に高い。
苦手意識を克服する方策の一つとして、理科の校内研修・研究会、他教員の理科授業の参観などが考えられるが、約三分の二の学校では理科の校内研修・研究会が年間一度も行われていない。また、学級担任として理科を教える教員の約七割は、年間一度も他の教員の理科の授業を参観する機会がない。
理科の観察や実験を行うに当たって障害となっていることとして、同教員の約七割が「準備や片付けの時間不足」、約五割が「設備備品の不足」、約四割が「消耗品の不足」を挙げている。理科の設備品は、児童一人あたりの全国平均で年間約三九一円、消耗品は、三一六円であり、厳しい予算状況が窺われる。
人的配置に関わる環境としては、理科専科教員(約二七%の学校に配置)は、児童による観察や実験を行う頻度が学級担任として理科を教える教員よりも高い傾向が見られる。また、理科支援員(約一五%の学校に配置)がいる学校では、その頻度がより高い傾向が見られる。