平成20年9月 第2331号(9月17日)
■注目のプロジェクト学習 BEATセミナー
実戦的能力を育てるには
近年、大学卒の人材には実践的な能力(コミュニケーション能力やプロジェクト遂行能力)が求められるようになってきている。大学は、社会が求めるそのようなスキルの向上に対し、どのように対応していけるのか。また、「学士力」と定義される、大学教育の質の保証についても策を講じなくてはならない。そのような背景をもとに、高等教育における「プロジェクト学習」の導入に注目が集まっている。「プロジェクト学習」は、グループで課題について議論し、解決策を提案していく過程で学習内容の理解を深め、実践的能力を育成する。
去る九月六日、BEAT(東京大学大学院情報学環ベネッセ先端教育技術学講座)は、東京大学本郷キャンパスにおいて、「プロジェクト学習が大学を変える」と題した公開研究会を開催した。プロジェクト学習を実践している、金沢工業大学、聖路加看護大学、立命館大学の三大学が、工学教育、看護教育、デザイン教育においての取組を紹介。さらに、パネルディスカッションでは、会場からの質疑等を受けて三大学の発表者がプロジェクト学習の成功の鍵について議論した。
東京大学大学院情報学環准教授の山内祐平氏は「プロジェクト学習は、プロジェクトがカリキュラムの中心にあり、構成主義的探索が含まれていること、ある程度の学生主導で行われること、学校的ではなくてリアルであることが条件」等と述べている。プロジェクト学習については、Problem Based Learning、Active learning等近しい表現も多数あるが、聖路加看護大学の看護教育プロジェクト学習の実践事例から、同大でのPBL(Project Based Learning)の取組を一部紹介する。同大看護実践開発研究センター教授の森 明子氏は、問題に基づいた学習=問題が提示される→知る必要のある事柄を確認→仕組みや仮説を考える→学習目標の設定→自己学習を経てグループ学習→実際に行う、というプロセスを挙げて説明した。「PBLにおいて、教員はファシリテーター(促進役)。利点は、学生が自己主導の学習技能を高められ、保持できること」等と語った。