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平成20年7月 第2323号(7月9日)

5大学の採択決定 私大人文学社会学科の共同研究拠点

 文部科学省は、平成二十年度から実施する新規事業の「人文学及び社会科学における共同研究拠点の整備の推進事業」について、このほど採択拠点の審査が終了し、結果を公表した。
 この事業は、大学に蓄積された人的・物的資源を活用し、国公私立大学を通じた共同研究の促進及び研究者ネットワークの構築、並びに学術資料等の共同利用の促進等、研究体制や研究基盤を強化するために、人文学及び社会科学分野における共同研究拠点の整備を私立大学等にも拡大することを目的としている。
 五月二十九日に公募を締め切り、一四大学から申請があり、文化女子大学、大阪商業大学のほか早稲田大学、慶應義塾大学、関西大学の五拠点(五大学)を採択した。
 その概要は次のとおりである。(大学名/拠点名/拠点代表者/研究分野/採択理由)
 ▽文化女子大学/服飾文化共同研究拠点/森川 陽/生活科学(服飾文化)等/服飾文化に関する分野を融合した新たな取り組みであり、服飾文化研究を俯瞰できる共同研究拠点としての発展可能性は高い。日本の文化力・ソフトパワーを発信していく意味でも共同研究拠点の形成に大きな意義がある。また、研究者コミュニティからの要望も高く、服飾博物館などにおける服飾関係の図書・資料や拠点に対する学内の支援体制も充実している。今後は、国際化を見据えた共同研究拠点としての活動を期待する。
 ▽大阪商業大学/JGSS研究センター(JGSS:日本版総合的社会調査)/岩井紀子/社会学/「学術フロンティア推進拠点」による日本版総合的社会調査の研究実績があり、共同研究拠点におけるテーマ別の詳細な共同研究計画は評価できる。日本社会の現状と変容の分析により、様々な制度設計や政策立案に資する可能性もある。また、研究者コミュニティからの要望も高く、大学が一体となった学内の支援体制も充実している。今後は、拠点の研究体制を更に充実・強化し、共同研究を推進していくことを期待する。
 ▽早稲田大学/イスラーム地域研究機構/佐藤次高/地域研究/イスラーム地域をテーマとする世界に先駆けた地域研究の取り組みであり、他大学等とのネットワーク型の共同研究の実績も充分である。
 ▽慶應義塾大学/パネルデータ設計・解析センター/樋口美雄/経済統計学、応用経済学/二十一世紀COEプログラム等による研究実績を踏まえ、これまでの家計パネル調査を発展させた共同研究を実施する提案であり、今後の我が国の政策構想、実施、評価などに資する実証的な調査研究につながる可能性がある。
 ▽関西大学/ソシオネットワーク戦略研究センター/鵜飼康東/経済政策/「学術フロンティア推進拠点」などの研究実績に基づく、大規模な社会データの構築を通じて社会科学の新展開を探ろうとするパイオニア的なプロジェクトであり、経済政策研究の発展に資する可能性がある。

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