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平成20年5月 第2314号 (5月7日)

[新刊紹介]
  2008研究者のための助成金応募ガイド (財)助成財団センター編

 恥ずかしながら、この本を読むまで、わが国に二〇〇〇を超える民間の助成団体が存在し、毎年約六百億円の助成金(育英奨学資金を含む)があることを知らなかった。
 大学や研究機関で研究活動を行う研究者を対象に、〇八年に各助成財団が行う助成事業をまとめた。別にNPO・市民活動のための助成金応募ガイドもある。
 掲載されている助成団体は五四〇(前年五三四)、プログラム数一〇二八(同一〇一五)。募集先限定で三大学以下に限定しているものなど制限の厳しいものは除外してあるそうだ。
 ところで、読み応えがあったのは、第一部の「助成金応募の手引き」の欄にある「最近の研究助成の動向」。
 〈応募の要点はセンターのウェブサイトに網羅されているので、今回は最近の研究助成の動向を考えたい〉と書き出す。
 〈科研費だけでなく省庁研究費も、ここ一〇年おしなべて競争的資金とすることで研究者を駆り立ててきた〉と問題提起する。
 〈競争は悪いことではないが、公平な機会と公正なプロセスが担保され、セーフティーネットの整備が必要〉と、科研費の配分で大学間格差が拡大する兆しについても疑問を投げかける。
 〈個々の財団の助成金額は小さくても、そこにこめられたそれぞれの財団の志を汲み取ってほしい〉と結んでいる。この国の競争的社会の実現という目標に対して“異議申し立て”した目線は特筆していい。
 ともあれ、大学や研究機関で研究活動を行う研究者は、この本を大いに活用すべきである。ウェブサイトはwww.jfc.or.jp。

 定価2500円(送料別)
 発行 (財)助成財団センター
 電話 03-3350−1857
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