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平成20年5月 第2314号 (5月7日)

広まる省エネ規制の網
  規制対象判断基準 21年度より学校法人単位に

 近い将来、全ての大学は省エネルギー活動が義務化されるかもしれない。地球温暖化への対応を受け、来年度にさらに改正が行われる予定の省エネルギー法(省エネ法)についてまとめた。

 来年度に施行される予定の改正省エネ法によれば、エネルギー使用量がキャンパス・学校を総合して一定以上となる学校法人は、適切な省エネ活動を行わなければならなくなる。
 現行の省エネ法においては、学校法人が持つ「キャンパス単位」の年間エネルギー使用量が、原油換算で一五〇〇キロリットルを超えるかどうかが、法律の対象(「エネルギー管理指定工場」として指定されること)の境であった。しかし、来年度からは判断基準が変更され、例えば、キャンパスを二つ以上持つ、あるいは、大学以外にも高校や中学校を持つ学校法人は、全ての学校・キャンパスと法人事業所のエネルギー使用量の総和という「学校法人単位」が、対象(=エネルギー管理指定工場)かどうかの新たな基準となる。
 エネルギー管理指定工場に指定された学校法人は、毎年のエネルギー使用量が前年度比一%の削減になることなどを盛り込んだ「学校法人単位」の中長期計画策定や定期報告書提出の義務が生じるとともに、キャンパスごとにエネルギー管理者、学校法人全体としてエネルギー管理「統括」者を選任しなければならないなど、省エネルギーへの対策義務が強まる。
 こうした改正の背景には、達成が困難となってきた京都議定書への政府の焦りがあると言える。京都議定書の発効によって、我が国は一九九〇年に比べてマイナス六%の温室効果ガスの排出量削減が義務付けられた。しかしながら、二〇〇五年には、一九九〇年比で排出量が七・八%増となるなど、「対策の進捗状況は極めて厳しい状況にある(平成十九年十月「京都議定書目標達成計画の見直しに向けた基本方針」)」。
 省エネ法は、正式名称を「エネルギーの使用の合理化に関する法律」といい、制定は一九七九年と約三〇年前にもなる。二度にわたるオイルショックの経験から、高効率のエネルギー使用が求められたために制定された法律であるが、近年は地球環境問題への対応等の観点に鑑み、一九九三年に法律の目的を改正。新たに省エネルギーに関する基本方針を策定し、広くエネルギー使用者全般に対し、省エネルギーに向けた努力を呼びかけることとした。その後、数度の改正が行われ、各分野におけるエネルギー使用の合理化が進められてきた。そして、このたび、特に取組が遅れている業務・家庭部門の取組を強化するため、二〇〇九年の改正が施行され、学校にもさらに広く規制の網がかかることになる。
 国際的な研究者の機関である「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第四次評価報告書では、今世紀末までに最高で気温が六・四度上昇すると予測をしている。七月に開催されるG8サミットでも「環境」が大きなテーマになる。世界的な地球温暖化へのムーブメントが進行している中、一つ言える事は、今後、地球温暖化対策への規制は強まることはあっても、弱まることはないということである。省エネ法についても、近い将来、全ての学校がその対象となる可能性も考えられる。従って、学校においては、単に規制を守るだけの取組を行うのではなく、学校法人全体の抜本的な環境対策とともに、この取組や方針を教育や研究、地域貢献に結びつけ、学校の特色とするような思い切った発想の転換も必要となるであろう。
 全私学連合では、昨年十月、二〇〇七年の排出量を基準に、二〇一二年まで毎年二酸化炭素排出量を一%削減することなどを盛り込んだ環境自主行動計画を策定、幼稚園から大学までの二酸化炭素排出削減に取り組む。

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