平成20年3月 第2307号 (3月5日)
■教職員一体となった能力開発を 広島大がSDテーマにシンポ
広島大学の高等教育開発センター(山本眞一センター長)では、去る三月一日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において、大学事務職員の能力開発の在り方に関するシンポジウムを開催、会場は関係者で満席となった。
大学競争の時代にあたり、大学事務職員の企画力などが求められている。そうしたことから、大学事務職員の能力開発(SD)が注目を集めているが、このたびは、同センターの研究成果の発表を題材に、教員、職員、文部科学省などの立場からSDの課題等を議論した。
まず、鈴木敏之文部科学省高等教育局企画官が、高等教育の現状と課題等を講演し、山本センター長のSD研究の報告が続いた。山本センター長によると、ほぼ全ての職員が能力開発の必要性を感じており、新たな事務分野の能力開発や企画立案能力、意識改革の必要性を挙げている。自己啓発による能力開発を熱心に行っている事務職員ほど、大学改革を職員のイニシアティブを持って仕事をしていきたいと考えている人が多い。自己啓発の内容は、新聞や専門書等を読む職員が最も多く、特に私立大学の職員が最も熱心である。山本センター長は、「大学職員は、大学改革の傍観者では済まされなくなった。戦略思考で活躍して欲しい」と述べた。
続くパネルディスカッションでは、「これからの大学事務職員の能力開発について」と題して、田中義郎桜美林大学大学院教授、井原徹実践女子学園総務部長、工藤敏夫広島大学理事がパネラーとなり議論した。その中で、初めからFDやSDに分けて考えるのではなく、まず大学の理念があって、それを達成するために教員と職員が一体となって、あるいは役割分担して取り組むべきである。例えば、良い講義のために、職員は教材の開発を支援することもある。教員同士の連携に際しては、職員が間に入ることもある。
そういう意味では、FDとSDを合わせた「UD(ユニバーシティ・ディベロップメント)」と言ったほうが良いのではないか、などの意見が出された。また、大学内、あるいは、大学間の職員の流動化等にも触れる幅広い議論となった。