平成19年7月 第2282号(7月25日)
■文化審答申 人間国宝に7人
文化審議会(石澤良昭会長)は二十日、宮薗節浄瑠璃の宮薗千碌さん(62)ら七人を重要無形文化財の保持者(人間国宝)として認定するよう伊吹文部科学大臣に答申した。宮薗節浄瑠璃からの人間国宝は三〇年ぶりとなる。これで人間国宝は芸能五八人、工芸技術五九人の計一一七人(重複認定が一人いるため実質一一六人)となる。
人間国宝に認定される人は次のとおり(敬称略)。
芸能の部
▽ | 宮薗節浄瑠璃―宮薗千碌(みやぞの・せんろく=本名・佐藤佐喜子) 宮薗節は十八世紀に京都で始まり、一定の筋のある話題を、三味線の伴奏にのせて、節をつけながら語る。宮薗節保存会代表。62歳。東京都台東区在住。 |
▽ | 狂言―野村万作(のむら・まんさく=本名・野村二朗) 狂言はせりふを中心とする喜劇で、語りや歌舞的な要素もその構成に重要な役割を果たす。平成二年に日本芸術院賞。76歳。東京都練馬区在住。 |
▽ | 人形浄瑠璃文楽太夫―竹本綱大夫(たけもと・つなたゆう=本名・尾ア忠男) 人形浄瑠璃文楽は、太夫・三味線・人形で構成される舞台芸術で、十八世紀中頃に大成した。文楽太夫は、三味線の伴奏で物語を語る。平成十五年に日本芸術院賞。75歳。大阪市阿倍野区在住。 |
▽ | 人形浄瑠璃文楽三味線―鶴澤清治(つるさわ・せいじ=本名・中能島 浩) 文楽三味線は、絃の音色と抑揚緩急で、登場人物の多様な情感や各場面の気分を表現する。さらに、人形の演技の速度や手順を示すほか、太夫の語りを導く。平成十八年紫綬褒章。61歳。東京都千代田区在住。 |
▽ | 歌舞伎音楽長唄―杵屋巳太郎(きねや・みたろう=本名・宮澤雅之) 長唄は一八世紀初めに、江戸で歌舞伎の伴奏音楽として発展した。芝居の場面では、舞台下手の黒御簾の中で演奏する。平成六年芸術祭優秀賞。69歳。東京都中央区在住。 |
工芸技術の部
▽ | 青磁―中島 宏(なかしま・ひろし) 青磁は中国で生まれ発達した、東洋独特の陶芸技法の代表的なもの。日本で本格的に青磁の制作が開始されるのは、江戸時代初期となる。平成十八年に日本陶磁協会賞金賞。65歳。佐賀県武雄市在住。 |
▽ | 友禅―森口邦彦(もりぐち・くにひこ) パリ国立高等装飾美術学校でグラフィック・デザイン等を学ぶ。人間国宝の父・華弘から友禅を体得。幾何学文様で表現する斬新な意匠が特徴。平成四年芸術選奨文部大臣賞。66歳。京都市中京区在住。 |