平成19年7月 第2282号(7月25日)
■イノベーション推進、若手人材に投資など 科学技術関連予算方針を意見具申
総合科学技術会議では、去る六月、平成二十年度の科学技術に関する予算等の資源配分の方針を原案どおり決定し、同会議から内閣総理大臣及び関係大臣に対し意見具申することとした。同方針の概要は次の通り。
平成二十年度の科学技術に関する予算等の資源配分の方針―科学技術によるイノベーション創出の推進に向けて
平成二十年度において優先すべき先駆的な取組
科学技術によるイノベーション創出を力強く推進するため、平成二十年度予算において優先すべき重点課題を次に示す。
@次世代を担う人材への投資
○若手、女性及び外国人研究者の活躍促進のための取組を充実・強化。
○第三期科学技術基本計画における博士課程在学者の支援目標の早期実現に向け、多様な支援制度の充実・積極的活用の推進。
○イノベーション推進の基盤を支える理数系人材の強化のため、高度で先進的な理数学習・教育の充実。
A研究開発の成果の社会還元を加速する取組
○近い将来に実証研究段階に達する技術を融合し、今後進めていく先駆的なモデルとして、「社会還元加速プロジェクト」を創設し、システム改革を伴う実証研究を通して成果の社会還元を加速。
○「イノベーション25」を実現していくため、先進的な在宅医療・介護や災害情報通信システムの実現など六つの「社会還元加速プロジェクト」を中心に重点的な資源配分を行い、早急に実施。
B環境・エネルギー等日本の科学技術力を活かした科学技術外交
○我が国の科学技術力を最大限に活用し、世界の諸課題に積極的に取り組むことで、ソフトパワーを高め、研究協力や技術協力を外交と連携させ、科学技術外交を推進。
○気候変動問題や資源・エネルギー制約の解決に向けて、日本が国際的にイニシアティブを発揮して取り組む革新的技術の開発や国際的な共同作業の充実。
継続して重点的に推進すべき取組
第三期科学技術基本計画の着実な実行に向けて、特に、研究の高度化とそれを支える研究システムの改革を進めるために、次の継続的な取組を優先的に推進する必要がある。
○人材育成と多様な研究の拠点として、基盤的資金を確実に措置しつつ、施設環境を含め、世界に開かれた国際競争力のある大学づくりの推進。
○競争的環境を醸成することで研究の質を一層向上させるとともに、研究者の流動性を更に高めるため、人件費を支給できる研究者の対象の拡大、間接経費三〇%の早期実現。
○政策課題対応型研究開発は、戦略重点科学技術への一層の重点化の推進。
○世界トップレベルの研究拠点づくりの推進、国際的な知的財産戦略の強化及び国際標準化の推進。
総合科学技術会議における取組の強化
一、資源配分方針に基づく科学技術政策の推進のための取組の強化
○関係府省により概算要求された科学技術関係施策が「資源配分方針」を反映して実施されるよう、従来の優先順位付けの他、国家基幹技術の総合的レビュー、予算規模が大きく重要性の高い基盤的施策に対する要求内容の精査及び詳細な見解付け、大規模研究開発の事前評価など、様々な手法を用いた一体的な政策誘導を実施。
○概算要求提出後、速やかに、次の観点を中心に関係府省の施策全体について個別にヒアリングを実施。その後、資源配分方針を反映した施策の重点化、加速化等の観点から、必要に応じて、改善すべき事項等の見解を提示。また、政府予算案決定後、重点化の状況についてフォローアップ。
○概算要求の科学技術関係施策の優先順位付け等は、よりきめ細かく施策の方向性を示し、政策誘導効果を高めるとの観点から、次の事項を中心に改革方策について検討。
○独立行政法人・国立大学法人等の科学技術関係活動の把握・所見とりまとめは、継続的・効率的に実施。
二、分野別推進戦略の着実な推進
○分野別推進戦略は必要に応じて見直しを行い、効果的な推進を図る。
○三年経過時に、より詳細なフォローアップを実施。
三、研究開発評価の更なる充実
○研究開発評価システムの改革を一層推進。
○新たな大規模研究開発は、概算要求前に評価の対象とすべき研究開発の調査を行い、概算要求後に事前評価を実施。
○平成十七年度に総合科学技術会議が事前評価を実施した大規模研究開発について、概算要求前にフォローアップを実施。
○各府省が行う中間・事後評価の実施状況を概算要求前に調査・把握。