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平成19年1月 第2258号(1月10日)

約60年ぶり教育基本法改正 教育振興基本計画の策定が重要

 教育基本法の改正案が昨年十二月十五日の参院本会議で可決、成立した。一九四七年の制定以来、初めて改正されたもので、「教育の目標」として、第二条第五項に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」と明記するなどのほか、新たに「大学」や「私立学校」等も規定された。
 その内容は、第一章=教育の目的及び理念、第二章=教育の実施に関する基本、第三章=教育行政、第四章=法令の制定で構成されている。ここでは、第二章の「学校教育」、「大学」、「私立学校」、第三章の「教育振興基本計画」など新たに規定された項目などについて掲載する。
 ▽学校教育
 第六条 法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、地方公共団体及び法律に定める法人のみが、これを設置することができる。
 2 前項の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。
 ▽大学
 第七条 大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。
 2 大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない。
 ▽私立学校
 第八条 私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない。
 ▽教育振興基本計画
 第十七条 政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。
 2 地方公共団体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならない。
 なお、改正された教育基本法は二十二日に官報に掲載され、同日中に公布、施行となった。文部科学省では、今後、教員免許更新制を導入する教員免許法や学校教育法の改正作業等に入ることになった。
 今後の重要点は、五年間の教育政策の基本方針を定める教育振興基本計画の策定である。政治や経済的側面等からの世論に影響されない教育行政の屋台骨を打ち出し、例えば、国の予算の何%を教育投資するかなど具体的な数値等も盛り込んだものとすることなど、教育関係者の期待は大きい。

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