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平成22年7月 第2409号(7月21日)

新刊紹介
 「世界最強のソーラーカー」
  東海大チャレンジセンター 編

 大学出版会の役割については、何回か触れた。商業主義に走らず、地道な出版体制を評価してきた。この本は、商業出版に遅れを取る速報性の面からも特記したい。
 昨年秋、オーストラリアで開催された世界最大級のソーラーカーレースの「グローバル・グリーン・チャレンジ」で、優勝した東海大学の学生たちの挑戦の記録。
 東海大の遠征メンバーは卒業生らを入れて20人。〈米ミシガン大チームはGM、フォードなど世界を代表するメーカーの支援を受け、学生150人からなる〉
 東海大チームも、太陽電池はシャープ、リチウムイオン電池ではパナソニックから提供を受けた。が、〈喜びつつも、大きなプレッシャーに包まれていった〉
 マシン開発では、進まない作業に〈「もう一週間も家に帰っていないんだぞ。文句言うなら手伝えよ」、「これ以上遅れたら許さないからな」〉と怒号が飛び交った。
 レースは〈赤土の大地での戦い〉。電気回路MPPTの破損では〈「今日一日何とか持ってくれ」ただ祈るしかなかった〉。砂嵐の襲来、パンクなど再三の危機…。
 ゴールイン。ライバルチームのメンバーから「おめでとう!君たちは素晴らしいチームだ」と言われたとき、〈本当に優勝したんだという実感がわいた〉
 おわりに、の文章は、やや凡庸。〈学生たちが「天狗」になってしまうのではないか〉と心配したが〈杞憂だった〉。願わくは、世界一に輝いた学生の胸に刻まれる熱いメッセージが欲しい。

 「世界最強のソーラーカー」  東海大学チャレンジセンター 著
 (株)東海教育研究所
 п@03―3227―3700
 定価 1470円(税込み)

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