平成22年2月 第2391号(2月17日)
■中教審
高等教育におけるキャリア教育職業教育審議
キャリア教育・職業教育特別部会
中央教育審議会のキャリア教育・職業教育特別部会は、去る4日、文部科学省内の講堂で第19回会合を開き、後期中等教育段階での審議から、高等教育段階におけるキャリア教育・職業教育の充実方策についての審議をスタートさせた。
会議では、これまでの審議の中で触れてきた高等教育関連事項を取りまとめた「高等教育段階におけるキャリア教育の在り方」について、次の「基本的な考え方」や「推進方策」等の論点が示された。
一、キャリア教育の体系的な充実に関する基本的な考え方
社会人・職業人として必要な力を育成する指導の充実、勤労観・職業感等の価値感の形成・確立、各人の発達の状況の的確な把握ときめ細かな支援、後期中等教育での目標達成を前提にした展開とする。
二、キャリア教育推進方策
〈キャリア教育の方針の明確化〉キャリア教育に対する学内の理解・協力は進みつつあるが、困難を感じる大学も多い。全学的なキャリア教育の位置づけやカリキュラム整備・運営組織整備、教職員への啓発についてなどが課題である。
高等教育段階においては、学生一人一人の状況に応じたキャリア教育推進の方針を明確にし、教職員の理解の共有化を図った上で、全学的な取組を推進することが必要。
〈多様で幅広い人間関係の構築〉学習支援や学習環境整備の観点から、学外の教育・研究人材や産業界・地域等との交流を図ることが重要である。その際、学内での産学連携等の取組を活用しつつ、それらと一体となって推進していくことが効果的ではないか。
〈体験的な学習活動の効果的な活用〉座学中心の学習ではなく、インターシシップや課題対応型授業(PBL)などの体験的な学習活動を通じて知識・技能を身につけさせ、学生の能動的な学習を促進することが重要。
〈適切な評価の実施〉学士力との関係で、分野別質保証の枠組み等について検討する必要がある。また、自己点検評価や認証評価において、各機関の理念や目的を踏まえつつ適切な評価がなされ、それが社会に明らかにされることが重要。
このほか、「高等教育における職業教育の観点からの質の保証・向上」についても、これまでの審議から「職業教育を通じて育成される能力」や「職業実践的な教育に特化した枠組み」、さらに職業実践的な教育に特化した枠組みの「教育課程」(実験や実習等の割合を重視〈例えば四〜五割〉、インターンシップの義務づけ、企業等との連携・対話の制度的確保など)、「教員資格・教員構成」(実務知識・経験の有無、職業資格等の実務の卓越性の重視)などの論点も示された。
委員からは、キャリア教育の在り方として、「学士課程教育の中でどのように位置づけるのか」、また、高等教育における職業教育については、「中等教育から高等教育への流れの中で考えていくことになるのではないか」といった意見が多く出された。