平成22年2月 第2391号(2月17日)
■設置審 学校法人分科会
218法人のうち126法人に168件の指摘
21年度 寄附行為(変更)認可後の状況調査
定員未充足71法人、定員超過30法人、理事・評議員数17法人、教育研究経費15法人に留意事項
文部科学省は、このほど平成21年度の「大学等設置に係る寄附行為(変更)認可後の財政状況及び施設等整備状況調査」の結果を取りまとめて公表した。この調査は寄附行為(変更)認可時の設置計画及び留意事項が確実に履行されているかを確認し、併せて学校法人の経営の実態を把握し、学校法人の健全な経営の確保に必要な指導・助言を行うため、大学設置・学校法人審議会学校法人分科会で実施しているもので、大学等の学部・学科等の新・増設の設置が認可された学校法人に対して、原則として当該学部等が完成年次に達するまで、毎年度実施している。
平成21年度の調査は、書類調査、実地調査のいずれかによるもので、実地調査は、法人新設、大学・短期大学新設等の場合で、設置学部等が完成年次を迎えたものが対象。21年度は全体で218法人を調査対象とし、そのうち13法人について実地調査が行われた。
調査の結果、文科省は当該学校法人の運営に問題点や課題等がある場合には、留意事項として通知される。
【留意事項を付された学校法人の状況】
調査した218法人のうち、何らかの留意事項が付されたのは126法人であり、「特になし」は92法人であった。
留意事項の主なものは次の通りである。
▽入学定員比の平均が0.7倍未満となっていることから、今後の定員充足の在り方について検討すること→71法人
▽定員超過の是正に努めること→30法人
▽理事数、評議員数に関すること→17法人
▽消費支出に対する教育研究経費の割合が同系統の大学等を設置する学校法人に比べて低く、また、近年その割合が低下傾向にあることから、教育研究条件の充実向上に努めること→15法人
▽理事会、評議員会の運営を適切に行うこと=(・予算及び事業計画については、毎会計年度開始前にあらかじめ評議員会の意見を聞いて理事会で議決すること、・評議員会に決算の報告を行うこと、・補正予算の審議は、当該会計年度中に行うこと、・長期借入金については、あらかじめ評議員会の意見を聞いて理事会で行うことなど)→10法人
▽学年進行中に当初の設置計画が大幅に変更されているので、認可時の計画を確実に履行するとともに、その計画に変更を加えるときは事前に協議すること→10法人
そのほか、▽大学等における教育研究活動を将来にわたり継続かつ安定して行うことができるよう策定した資金計画等を確実に履行すること(3法人)、▽評議員の構成が特定の親族に偏っているのでその構成の見直しについて検討すること(2法人)、▽資産総額の変更登記及び資産総額変更届が遅延しており、未だ履行されていないので速やかに行うこと、▽学校債について募集要項等に任意であることが明記されていないので、明記すること、▽学生生徒等納付金に対する経常的経費支出の割合が同系統の大学等を設置する学校法人に比べて低いことから、同納付金の学生への還元に努めること、など。(学校法人によっては複数の留意事項が付されている)
文科省では、通知した留意事項の改善措置等の履行状況の報告を求めることにしている。
なお、この調査とは別に、設置された大学等を対象に、教育水準の維持・向上及び主体的な改善・充実を促す「設置計画履行状況調査」も行われている。