平成22年2月 第2390号(2月10日)
■心に火をつける「ふりかえり」
早大ボランティアセンターがシンポ
学生の体験学習や社会貢献活動は、活動だけで終わりがちで、学びへの変換は容易ではない。早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)は、活動の「ふりかえり」により学生の成長を促してきた。1月29日のシンポジウム「社会貢献で学生は育つのか?」では、ふりかえりがどのように学生の心に火をつけたのか、教職員の働きかけなどについて紹介された。
シンポジウムでは、WAVOCの多様なプログラムのうち、三つのグループの「ふりかえり」について、それぞれ担当教員と学生が「何が心に火をつけたのか」をテーマに発表した。
「学生×教員」のふりかえり(つっこみ型)のケースでは、学生が、教員から「なぜ」「どうして」を繰り返されることで、思考を止められず、“火をつけられた”体験を紹介。和栗桃恵WAVOC客員講師は、ふりかえりの課程をヤドカリに例え、ふりかえりは自分の殻を探すことではなく、自分の殻をつくっていく(紡ぐ)ことであると述べた。また、ふりかえりの実践のヒントとして、担当科目の学習目標のもと「手段」として使うことなどを示唆した。
今回紹介された「学生×社会人」のケースでは、プロジェクトに当事者、学生、企業など多様な人・団体が係わっていることが特徴。学生は、ふりかえりにおいて自分が思ったことを掘り下げ、言葉にしていく課程での苦労や葛藤を述べた。兵智佳WAVOC助教は、ふりかえりにより自分を語る力をつけることが重要であり、「学生×社会人」のふりかえりにおいて教員の役割は、様々な立場にいる人たちの意見の交通整理であると述べた。
「学生×学生」のふりかえりでは、学生が、プロジェクト進行上での学生間の意見衝突を紹介し、自分の固定観念に気づき新しい思考に至った経緯を語った。教員の関与について岩井雪乃WAVOC助教は、学生だけでは陥りやすい偏った視点に、多角的視点を入れられると述べた。
続いて、パネリストに今泉柔剛文部科学省高等教育局大学振興課大学改革推進室長、池山一誠ソニー株式会社人事部門人材開発部統括課長、渡辺康幸早稲田大学競走部駅伝監督を迎え、「何が心に火をつけるのか?」をテーマにパネルディスカッションが行われた。「教員の熱い思いがあるからこそ、学生の心に火がつけられる」といった意見が出された。