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平成22年2月 第2390号(2月10日)

私大協会
 財政基盤充実の研究協議会開く
 加盟238大学から358名が出席
 予算事項の制度設計等を理解して申請を

 日本私立大学協会(大沼 淳会長)は8日、東京・市ヶ谷のアルカデイア市ヶ谷で、「平成21年度私立大学財政基盤の充実に関する研究協議会」を開催した。同協議会は、私立大学基本問題研究委員会(担当理事=黒田壽二金沢工業大学学園長・総長、担当小委員長=佐藤東洋士桜美林大学理事長・学長)が準備を進めてきたもので、平成21年度私立大学等経常費補助金配分基準の改正のほか、22年度の高等教育予算案、私学助成予算案、科学研究費補助金等への対応、税制改正の結果と私大経営の課題などについて、日本私立学校振興・共済事業団及び文部科学省の担当課長等から説明を聞くとともに、質疑応答も行われた。加盟238大学から358名が出席した。

 開会に当たり佐藤小委員長は「私学にとって財政運営は非常に厳しい。私学事業団や文科省の各担当の説明をもとに、各事業の制度設計等の主旨を把握して、多様な予算の積極的活用をお願いしたい」と挨拶。  続いて、事務局の岡田誠業務部長が開催趣旨を述べ、さっそく研究協議に移った。
 始めに、「平成21年度私立大学等経常費補助金配分基準の改正」について、私学事業団助成部の佐藤直也補助金課長が登壇し、取扱要領・配分基準の改正結果と各大学への影響、今後の課題・見通し等を総括した。  一般補助のA取扱要領の変更点について、補助金不交付になる学部等の入学定員超過率〈医・歯学部除く〉の経過措置が1.37倍(22年度は1.34倍)及び例外措置の変更等、B配分基準の変更点について、定員割れ学部等の減額強化▲30%(22年度は▲39%)、そのほか、内定取消し学生への対応や調整係数表の表記変更等にも触れた。
 特別補助の申請ゾーンの併有するゾーンの配分割合は70%(20年度は80%)、また、配分の変更ポイントは、採択制特別補助項目の削減(三項目→一項目)及び算定方式の変更(所要経費×1/2→員数×単価×取組数など)のほか、新規項目及び内容変更の項目を説明した。
 昼食休憩の後、引き続き、「高等教育費予算の現状と今後の課題」について、文科省の義本博司高等教育企画課長が大学教育の質保証と高度な教育研究拠点の形成支援事業について、大学教育・学生支援推進事業92億円、大学生の就業力育成支援事業【新規】30億円、また、医師等人材確保対策と大学病院の機能強化68億円等を説明。さらに、大学奨学金の充実1309億円(事業費1兆55億円)、留学生交流と大学の国際化の推進393億円などの概要を説明した。
 なお、昨年12月30日に閣議決定された「新成長戦略」に触れ、6月頃までに具体的内容を盛り込んだ実行計画が取りまとめられると述べた。
 次に、「平成22年度私学助成予算案」について、同省私学部私学助成課の日比謙一郎専門官が、民主党のマニフェストに沿った22年度予算案の背景に触れた上で私学助成予算案を詳細に説明した。
 私学の財政基盤にとって重要な一般補助について、「地方中小規模大学に対し学生の教育研究経費を支援するため単価を増額し、4億円を増額することになった」と述べ今後、「地方、中小規模大学」についてたとえば「三大都市圏以外、入学定員800人以下」など私学事業団とも協議して定めていくことになるだろうと説明した。また、特別補助では、ゾーン化メニュー化の細かな支援(22億円減)や授業料減免事業等支援(20億円増)や未来経営戦略推進支援(2億円増)など、制度設計の背景も含めて説明した。そのほか、施設・設備の整備(30億円減)等にも言及し、私学助成全体では66億円(1.5%)の減となっていると述べた。
 なお、フロアから「地方では公立高志向が強まり私立高は厳しい。もっと手厚くできないか」「競争的な補助金事業の採択率の公表を」といった質問が出され、検討課題として考えたいとした。
 「科学研究費補助金」については、研究振興局の山口 敏学術研究助成課長が、厳しい「事業仕分け」等があったが、国民の声に推されて初めて2000億円の予算案となったと説明し、22年度については目下審査中で4月初旬には交付内定したいと述べた。研究種目の説明では、基盤研究(C)(5年間で500万円以下)が人文社会系で応募しやすいことなどを強調した。
 なお、機関別の応募状況で、教員一人につき国立大1.11件、私立大0.35件を示し、私立大の応募増を促した。
 研究協議の最後は、「平成22年度学校法人税制改正結果と私大経営の周辺課題」と題し、私学部の村田善則私学行政課長が、所得税の寄附金控除の適用下限額を2000円に引き下げることになったこと、中教審大学分科会の審議動向としてキャリアガイダンスの制度化、教育情報の公開、財務・経営情報の公開などを説明した。
 午後5時、研究協議は小出秀文事務局長の閉会の挨拶で全日程を終了した。


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