平成22年2月 第2389号(2月3日)
■復元伊能地図
全国巡回展
小百科
偉業を体感
地図の上を歩きながら鑑賞する見学者のなかには、地図に顔をくっつけるように凝視する人もいた。一様に、興奮気味に話す。「凄い」、「あまりに精巧な地図だ」。
「完全復元伊能図全国巡回フロア展」が一足早く昨年11月に開催されたさいたま市の与野体育館の会場。ここで見聞きした光景だ。
しばらく、そんな見学者の会話を聞いた。「自分の生れた町が見つかった。街道は昔のまま」、「地名は変わっているが、ここが、自分の生れた所」
伊能忠敬が測量を開始して今年は210年。200年以上前に、このような精巧な地図がつくられた。が、明治から大正にかけて、その多くが地震や火災で消失した。
その後、国内外で副本や模写図が発見され、民間の研究団体「伊能忠敬研究会」が中心になって、地図を完全復元。奇跡と言っていいだろう。
与野体育館の床面には、伊能大図を完全復元した地図が敷き詰められた。縦2m、横1mの塩ビ製のパネル255枚になっている。
復元地図を、別の会場で、地図や測量に関係する役所のトップに見せたところ、挨拶で引き上げる予定が、本人が熱中して「一時間以上、地図の上を歩いて見入っていた」(伊能研究会幹部)
既報のように、7月30日から福岡県で、中村学園大学体育館での開催が決まった。地図の上を、見学者が歩き、伊能の偉業を体感する光景が見られるはずだ。
完全復元伊能図全国巡回フロア展はまだ、始まったばかり。実際に地図の上を、見学者が歩き、伊能の偉業を体感した人は少ない。
今後、より多くの人たちに、これを体感してもらいたい。そのためにも、体育館の提供など加盟大学の協力が求められる。