平成22年2月 第2389号(2月3日)
■知的クラスターで地域主権目指す
クラスターカンファレンス2010
去る1月28日と29日、秋葉原ダイビル(東京・千代田区)において、「クラスターカンファレンス2010」が開催された。主催は文部科学省と経済産業省。
地域主権国家を目指すというメッセージ、グローバル化の中でのクラスター戦略の基調講演、日米欧間取組の温度差についての解説、地域経済発展戦略をテーマにしたパネルディスカッション、各地の成果事例報告、課題別のワークショップ等、多彩な内容で日本の地域発クラスター構築の現状が示された。
平成13年3月に閣議決定された第二期科学技術基本計画において、地域における「知的クラスター」の形成の促進が位置付けられ、第三期計画においても、クラスター形成の進捗状況に応じ、世界レベルのクラスターとして発展可能な地域に重点的な支援を行うこととなり、それらを経て現在10年目を迎えようとしている。
「知的クラスター」とは、地域のイニシアティブの下で、地域において独自の研究開発テーマとポテンシャルを有する大学をはじめとした公的研究機関等を核とし、地域内外から企業等も参画して構成される技術革新システム。文部科学省は、平成14年度から「知的クラスター創成事業」を実施している。
さらに、平成21年12月30日閣議決定「新成長戦略(基本方針)」では、地域資源を最大限活用する仕組みを創り上げ、地域からの成長の道筋を示すモデルを構築、活気に満ちた地域社会をつくるための「地域主権」改革を断行することを宣言している。
資源の乏しい日本の財産は「人」であり、その育成を担う教育により、やがては大いなる「知財」が生み出される。そこからさらに、イノベーションが創出されて閉塞した状況を打開するとすれば、創出した地域から世界へ向けて希望の道が拓かれる。各地で「知」の拠点として大学が中核を成していき、日本全体に波及するネットワークが誕生したとき、日本のすべての「知」を結集するクラスター事業が理想として掲げる姿が完成する。ここにまた、地域に根ざした取組をする大学の発展の可能性が存在する。地域が独立していくための、活性化ばかりに留まらない原動力となることが求められている。