平成22年1月 第2388号(1月27日)
■新刊紹介
「第二ステージの大学公開講座」
瀬沼克彰著
大学公開講座は花盛りで、サテライト教室が増えているようにみえる。しかし、民間のカルチャーセンターに比べると、近年、伸び悩みとか。その指南書でもある。
筆者は、文部科学省生涯教育局教育官のあと宇都宮大学や桜美林大学で生涯教育センターを立ち上げるなど、余暇や生涯学習の碩学である。
一、二章は大学公開講座の歴史や大学の生涯学習化への取組みの現状。三、四章で各大学の多様な公開講座を紹介、五章で今後の展望を書く。日本は欧米を追いかける。
〈わが国の公開講座の歴史は、欧米の100年、200年と比較すると、古い大学でも30年にすぎない〉
〈米国では、70年代、大学陶汰の時代に生き残りのため正規の学生の収入とは別に、社会人、シニアを招いて学費を稼がなければならなかった〉
大学とカルチャーセンターの受講者数の差も大きい。94年は61万人と91万人だったが、05年になると115万人と750万人、両者の差は七倍近くに開いた。
〈大学公開講座への期待は、カルチャーセンターの趣味講座と違って教養、専門、実務が求められる〉、〈大学公開講座は有料でなければならない〉、は首肯できる。
しかし、指南のツボともいえる「受講者増をはかるポイント」は、専門店的でなく百貨店的で、大学の実務者はちょっと惑いそうだ。
タイトルの「第二ステージ」は〈近年、受講者総数が100万人を突破して、第二ステージにさしかかった。これから200万、300万も目標にできる〉と、やや楽観的だが、今後に夢を託すことで良としよう。
「第二ステージの大学公開講座」
瀬沼克彰著
学文社
03―3715―1501
定価2700円+税
瀬沼克彰著
学文社
03―3715―1501
定価2700円+税