平成22年1月 第2388号(1月27日)
■干支の弁
干支に思う
我が麗澤大学は、昨年開学50周年、本年は廣池学園創立75周年の節目を迎えました。50年前の開学式において初代学長の廣池千英は、「教育というものは、人間の心に仁愛の精神を植えつける最高の理想であり、その精神の上に現代科学と知識を植えつけ、これを応用してこそはじめて学問の光が輝いてくる」と述べ、校舎に「大学の道は明徳を明らかにするに在り」という額を掲げました。
すなわち本学では、大学の使命は、道徳の最高原理にのっとり、その精神の上に現代科学と知識とを十分に教え込んでいくことによって、「知徳一体」の人材を養成することにあると考えています。
そこで記念事業として、まず4月に教養教育のコア科目で、建学の精神を理解する授業「道徳科学」に使用する『大学生のための道徳教科書―君はどう生きるか?―』を刊行しました。大学教育における道徳教科書は初の試みではないでしょうか。しかも同書は学生たちとの共同作業で学生の視点をできるだけ取り入れて編集されており、おかげで好評を得ています。
続いて、本学の学術的かつ教育的内容の一端を広く社会の皆様にご理解いただきたいと、「知のモラルの再構築―地球と人類の平和をめざして」をテーマとして様々な記念行事を開催しました。
特に東京と地元柏市で行った「企業倫理シンポジウム」には、一般市民の方々が多数参加され、道徳と経済の一体化をめざす「道経一体」の理想を現代的に展開しようという意図がかなり理解されたと伺っています。
五回目の寅年、私も還暦を迎えました。寅の語源を見ますと「草木が伸び始める状態を表すと解釈されている」とあります。私もこれからが伸びる時。モラルや勢いを失った社会に春風を吹き込めるような“人財”を育み、世に送り出すことに全力を挙げる決意です。