平成22年1月 第2388号(1月27日)
■私学事業団
帰属収支差額比率0%未満大学法人 44.3%と悪化
21年度版「今日の私学財政」より
日本私立学校振興・共済事業団は、昨年末、学校法人の財務及び経営状況を把握するための基礎資料として平成21年度版「今日の私学財政」(平成16年度〜同20年度)の報告書を公表した。そのうち、20年度の大学法人(531法人集計分)についての消費収支状況をみると、帰属収支差額比率が0%未満の法人数は235法人(44.3%)であった。大学法人(医歯系法人を除く491法人)部分の概要は次のとおりである。
【消費収支状況】
▽帰属収支差額、消費収支差額は減少=帰属収支差額は、平成8年度以降は減少傾向であり20年度は66億円、帰属収支差額比率では元年度と比べ、大幅に下降している。消費収支差額は10年度以降減少し続け、20年度は19年度に比べて大きく減少して▲4483億円となった。
▽資産運用収入は減少、寄附金は横ばい=帰属収入の構成割合で学生生徒等納付金、事業収入、補助金に次いで高い資産運用収入と寄附金を比較すると、資産運用収入は4年度以降大きく減少し、15年度に増額となったものの、20年度は世界的な株価下落の影響を受けて減少している。これに対し寄附金は、年度により増減がみられるが、20年度はこれまでの最高額の839億円となっている。
▽資産処分の影響は大きい=帰属収支差額を資産売却差額と資産処分差額を含めた場合と除いた場合とで比較すると、15年度まではほぼ同額で影響はみられないが、20年度は1799億円の差が出ており、資産処分の影響は大きい。
【財政状況】
▽総資産の増加=法人数の増加に伴い、増加しているが、流動資産の構成比率は下降しており、現金預金・有価証券など自由度の高い資産の割合は低くなっている。
▽借入金等は横ばい
▽建物は老朽化=建物の減価償却比率をみると五年度には40%以上が5法人あったが、20年度では173法人と増加しており、老朽化が進んでいることを示す。
▽預金等資産は減少=預金等資産に対し、退職給与引当金など、要積立額を比較すると、15年度までは預金等資産は十分であったが、20年度は一挙に4685億円が不足し、積立額が不十分な状態である。