平成22年1月 第2388号(1月27日)
■私大協会
第601回理事会
22年度事業計画・予算の基本方針定まる
財政基盤の強化・情報公開等重視
22年度政府予算案など文部科学省担当課長等が説明
開会に当たり大沼会長は「政権も代わり、社会が大きく変化する中で、我々私立大学全体としての意見を取りまとめ、社会に訴えていかなければならない。家計負担の問題、較差の問題などの是正を図るとともに、高等教育の充実をめざさなければならない」と挨拶。
協議事項に入り、始めに同協会の平成22年度事業計画案の策定方針及び予算案の編成方針について、廣川利男副会長(企画財務委員会担当理事)が企画財務委(別掲)の協議を踏まえ、重点施策等を策定したいと述べた。
引き続いて、小出秀文事務局長が「私大振興の共通理解の下で、私大に対する社会の理解を得て堂々と施策を推進していきたい」と語り、中長期的な活動も重要だが、私大の経営安定化を優先的課題とするなど、具体の施策を考えたいとした。その上で、企画財務委で取りまとめ、骨格を固めることが了承された。
次に、中教審の審議動向と大学改革等への対応(大学法人の財務・経営情報の公開の在り方を含む)では、大学分科会質保証システム部会の部会長でもある黒田壽二副会長から、国際的な大学評価活動に関するワーキンググループの検討状況や大学グローバル化検討ワーキンググループのダブル・ディグリー等の組織的・継続的な教育連携関係の構築に関するガイドライン案等が説明された。また、大学規模・大学経営部会の財務・経営に関する情報公開の促進に係る論点整理等に触れるとともに、大学関係者による自主性・自律性に基づく情報公開項目等の基準の作成が求められていると述べた。
一方、日本私立大学団体連合会としては、大学法人が主体的に財務・経営情報の公開を進めるべく、調査研究会を立ち上げている。
学校法人は、私立学校法により財務情報の開示が、また、大学設置基準により教育研究情報の公開がそれぞれ義務化されていることもあり、同協会でも関連研究委委員の意見等も参考に、公開の在り方については、昨年末の常務理事会に諮るなどして検討中であり、そのタタキ台が示されて議論した。
「情報公開はさけて通れない。私学がそれぞれの地域で特色を出して活動していることなども踏まえた形で対応していくことが肝要だ」と黒田副会長は語り、今後の検討の方向が確認された。
引き続き、大学設置・学校法人審議会委員候補者の推薦についてでは、会長一任が了承された。
平成22年度私立大学関係政府予算案及び学校法人関係税制改正等についてでは、文科省の担当課長等が説明した。
税制改正については、所得税の寄附金控除の適用下限額を5000円から2000円に引き下げることになったほか、近々に設置される市民公益税制プロジェクト・チームでの検討が説明された。なお、今後は所得控除から税額控除・給付つき税額控除・手当への転換等を検討することが税制改正大綱で定められている。そのほか、「新成長戦略」についても説明された。予算関係では、私大等経常費補助金の一般補助の4億円増額、医師不足解消のための医師養成と大学病院の機能強化、大学奨学金の充実、科研費、さらに国公私の共通予算、科学技術関係予算等も説明された。
報告事項に移り、小出事務局長から、任期満了に伴う私学事業団の役員(河田悌一理事長ほか)が決まったことが報告された。
次に、昨年12月2日開催の教育学術充実協議会(第二回)の実施について中原 爽担当理事から、さらに、私大団体連の各種ヒアリングへの対応について、小出事務局長が概要を説明し、黒田副会長から@「キャリアガイダンス(社会的・職業的自立に関する指導等)」の法令上の明確化に関するヒアリング、A「学術研究の大型プロジェクトの推進について(審議経過報告)」に関する意見書提出、B「大学共同利用機関法人及び大学共同利用機関の今後の在り方について」に関するヒアリングの説明が行われた。
議事終了後には、河田私学事業団理事長、また、文科省の河村潤子私学部長等も出席して懇親夕食会も催された。