平成22年1月 第2387号(1月20日)
■内定取消しに続く衝撃
就職協定見直しの好機
[視点]96年以降で最低の内定率に、文科省は「非常に厳しい数字だ。まだ募集をしている企業もあり、大学に就職支援を働きかけたい」と評論家的に述べた。
学生や大学関係者は、こんなコメントに決して満足していない。大学生は、昨年は内定取消し問題で苦しみ、こんどは内定率低下と二重のショック。地方の私立大学は、より深刻だという。
九六年といえば、この年を最後に大学と企業間の就職協定が廃止された。昨年の自民党政権のとき塩谷文科相は「また就職協定ができるような状況を、基本的にはつくりたい」と協定復活を検討すると表明した。
大学団体は、経団連に「企業の行き過ぎた採用活動や就職前研修が是正され、大学における教育研究が正常に推進される環境を取り戻せるよう強く要望する」との要望書を出したが、それっきりで、論議は消えた。
企業は、大学三年の冬から就職活動が始まる現状をおかしいと思わないのか。企業の採用活動は四年生を対象とすべき。学生は大学の四年間を「人生の時間」として学びにあてるべきだ。そのほうが国家、そして企業にとって有力な戦力になるはずである。
昨年末、キャノンのグループ会社が「就活の時期が早まり、学生から学ぶ機会を奪っている」と採用試験を遅らせると宣言、新しいうねりも出ている。内定率低下という厳しい時こそ、就職協定を見直す好機にしたらどうか。ピンチはチャンスだ。(K・N)