平成22年1月 第2385号(1月1日)
■教育の本質に目を向ける時代へ
新年あけましておめでとうございます。
旧年中、皆様方には、日本私立大学協会の運営並びに活動等に対し、多大なご支援ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。本年も倍旧のご高配を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
一段と経済情勢が厳しさを増すなか、私立大学を取り巻く教育環境も大きな変革を迫られております。未だ、私学振興の面での具体的な突破口の姿・形は見えてきませんが、日本の国の将来を考えるとき、教育を最優先させる施策がなによりも望まれていることは間違いのない事実であります。同時に、日本の将来を託す学生の七割強の教育を担っている私学の発展こそ、大きな国家的課題であると考えております。
かつて日本は、教育を国づくりの土台としていました。戦後、爆撃で破壊された建物が残るなか、いち早く新しく建てられた建物が学校であり、運動場やプールでした。食べ物が十分でなくとも、大人たちは子どもにより良い教育環境を与えたいと頑張っていました。国を立て直すのには、まずは教育が大事だと力を入れたわけであります。教育にお金をかけない日本であっては決してならないし、かけないのなら国際社会から見放されると思います。
教育は、より良い人間を育てることです。インターネットで手軽に情報が入る時代ですが、ますます人間は劣化しています。学力の向上ばかりに目をやるのではなく、共同体を大切にするとか、家族を大切にするとか、いわば教育の本質に目を向けるべきだと思っています。苦しんでいる人や貧しい人を助けたいと考え、行動する人を育てること、それこそが教育の本質であると考えています。教育を国づくりの土台としてきた日本の伝統に立ち返って、真の教育実践を大切にしていただきたい。教育再生のとき、教育の本質に目を向け、私たち教育人は、新しい教育を新しい時代のために、いまこのとき、準備しなければならないのではないかと強く思うわけであります。
新しい2010年も、確固たる信念のもと、最大限の努力をしてまいりたいと存じております。皆様方のご多幸を心よりお祈り申し上げます。