平成22年1月 第2385号(1月1日)
■医師不足への対応施策を
平成22年の新春を迎えることになりました。
昨今の医師不足の社会情勢に対応するため、平成22年度以降、すなわち本年4月から、大学医学部は「期間を付して学部の収容定員増」を申請することができることとされました。
従来、医学部収容定員数は、360人から、上限数720人までの四段階区分について、大学設置基準別表第一の「ロ」により、その収容定員上限数の720人の場合の専任教員数は140名に定められていました。
また、別表第三の「ロ」により、720人に対する校舎と附属病院の面積が定められ、同設置基準第37条(校地の面積)による学生一人当たりの基準面積に、附属病院建築面積を加えた面積を大学医学部の校地面積とすることも定められていました。
この設置基準の見直しについて、医学部収容定員上限の720人を超えた定員増に対する大学設置基準改正の文部科学大臣諮問を受け、中央教育審議会において昨年10月に答申が出されたところであります。
この期間を付して720人を超える部分の専任教員数は、150人に増員することとして、収容定員分の校地面積の増加については、不要とされました。
校舎と附属病院の面積の算定については、従前の収容定員720人の場合の校舎及び附属病院の面積に、720人を超える収容定員6人につき、各々、校舎75uと附属病院100uの割合で面積の増加をすることとなりました。このことは、収容定員720人の医学部収容定員上限数を超える事例に対応させる改正であるので、現時点の収容定員600人の医学部が収容定員720人に増加を図る場合は、従前どおりの校地面積、専任教員数、校舎及び附属病院の面積で収容定員720人の設置基準に適合した収容定員増の許可を受けることになります。
本年4月から収容定員720人(入学定員120人)+(プラス)6名につき対応する場合が改正設置基準における医師不足の当面の対応施策になると考えられます。
平成22年度概算要求額で私立大学等経常費補助は、3222億円の前年度対比4億円増でした。その概要の欄には、「医師不足の解消等や経営基盤の強化に取り組む私立大学等を重点的に支援」と記述されています。対応・要求内容では、私立大学医学部定員増に伴う教育環境整備への支援、6億5900万円の概算要求等が記述されていました。
医師不足の主たる内容は、産科、小児科及び救急医療等における医師数の減少でしょう。医師養成は、修業年限6年間に卒後研修期間2年を加えて、8年間を要しますから、医学部定員増に伴い、医学部の学士課程教育と学部の分野別質保証が問われることになります。したがって、医学部における実際の不足医師数の改善は、年度ごとに見直して、改善策を積み上げていく対応が必要です。
さらに現在の社会状況の少子・高齢社会の対応のうち、医師不足はもとより、最も早急かつ、真摯に対応しなければならないのは、「少子化」に歯止めをかける政府の政策でなければならないことを申し上げて、新春のご挨拶といたします。