平成21年12月 第2384号(12月16日)
■初年次教育に日本語検定
就職にもプラス 中部大は全学的取組み
初年次教育やキャリア教育の一環として日本語の運用能力を測定する「日本語検定」を活用している大学が増えている。中部大学(山下興亜学長、愛知県春日井市)でも全学的な取り組みをして成果をあげている。
中部大学は7学部24学科の総合大学で、学生数は9000人を超える。同大の「日本語検定」への取り組みは、学生たちに正確な日本語運用能力を身につけさせたいということから。「検定試験を動機付けとして、学生たちを日本語学習へ向かわせよう」と文系四学部の足並みが揃った。
日本語検定は、日本語を母語とする者の日本語力を測定する統一的な検定試験。特定非営利活動法人の日本語検定委員会(梶田叡一理事長)が実施している。敬語、文法、語彙、言葉の意味、漢字、表記の六つの領域から日本語の運用能力を検定。1級から7級まである。
初めての受検の今年6月は、希望者全員が3級を受検。検定試験の前には、希望者を対象とした講座を二回開き、過去の出題のポイント解説を行った。11月は、6月の検定で3級の認定を受けた学生のうち約60人が2級を受検、3級も約90人が受検した。
現代教育学部の高木 徹准教授は、「受検に際しては、学生の経済的負担を軽くするために、キャリアセンターから補助を受けられるように制度を整えました。一人でも多くの学生が二級を取り、それを履歴書に書くことによって、彼らの就職活動にとってプラスの要素になればと願っています。
日本語能力に関して一定のレベルにあると認定されることは、就職活動のみならず、社会に出てからも、自らが話し書く場面において、大きな自信を与えることになるはずです」と話している。
現在、大学全体としては自主的な受検を勧めているだけだが、人文学部コミュニケーション学科は、積極的に日本語検定を活用している。二年次の必修科目「日本語表現A」「日本語表現B」では、「日本語検定」を導入、検定の結果を成績の一部に反映させている。
同学科では「日本語検定」の対策も実施。学生に、漢字学習のソフトを利用した自習を勧め、教員が作成した練習問題を毎週の宿題として提出させている。練習問題の結果から、どの分野が弱いかを分析、検定前には重点的にその分野の問題を取り上げ指導している。
同大では、現在「日本語検定」に関するe-ラーニングの導入が検討されており、さらに全学的な取り組みに発展させて行く構想もあるという。