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平成21年12月 第2383号(12月2日)

私大協会
  予算・税制改要望実現対策など協議
  大沼会長「私大の変遷と針路」テーマに記念講演
  第600回理事会

 日本私立大学協会(大沼 淳会長)は、去る11月27日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において第600回理事会を開催し、平成22年度私立大学関係政府予算概算要求並びに私学関係税制改善対策の今後の推進方策、中央教育審議会に係わる審議動向と大学改革問題等への対応等について協議した。また、報告事項の後には、600回を記念して大沼会長が「私立大学の変遷と針路」と題して特別講演を行った。なお、閉会後には、600回を記念しての懇親夕食会も開かれ、理事相互の一層の懇親を深めた。

 開会に当たって大沼会長は「もっか予算概算要求の事業仕分けが行われているが、教育、特に高等教育については将来的にどこを目指そうとして議論しているのか判然としない。ノーベル賞受賞の科学者たちからも異論の声が上がってもいる。年末の12月末には予算編成の運びとなるらしい。この度の事業仕分けでは第三WGの文部科学省関係の教育分野は傍聴者も多く感心が高い。(教育は他の分野と違って、すぐに成果が見えるものではないのに)「効果的でない」という理由で何もかも削減の判定を下している。今後の様子を注視した上で、私学としての対策を考えたい。なお、今日は600回を記念して、「今後、私立大学はどこを目指していけばよいのか」をテーマにお話しさせていただきます。後ほどの懇親会でご意見・ご感想等いただければ幸いです」と挨拶した。
 次に、去る10月23日の金沢で開催された第131回総会で承認された新任理事として、福井 有大手前大学理事長、山本良一帝塚山大学学長、瀬地山 敏鹿児島国際大学学長の三氏が紹介され、暖かい拍手で迎えられた。

予算・税制改善の対策活動

 協議に入り、平成22年度私立大学関係政府予算概算要求並びに私学関係税制改善対策の今後の推進方策について、はじめに小出秀文事務局長が概要を述べ、続いて文科省の担当課長から詳細な説明が行われた。
 小出局長は、「政権交代し予算の事業仕分けや税制改正も新しい仕組みで動いている。「教育は百年の計」であり、決しておろそかにはできない。これまで、手さぐりではあるが私立大学団体連合会、全私学連合と共に足並みをそろえて情報を共有化し、要望実現に邁進している。全私連として拡大会長会議を開き、文科省の高井美穂大臣政務官と予算要望に関わる私学の考え方で意見交換するとともに、私学の役割に理解を求めた。また、私大団体連としてマスコミ九社の論説委員等との懇談会を開き、私大の現状への理解を訴えるなどしている」などとを説明した。
 高等教育に対する公財政支出の対GDP比は、OECD加盟国の中で最低(OECD平均の1.0%に対し、日本は0.5%)であり、ここ数日の間に、ノーベル賞受賞の科学者をはじめ、国立大や私立大等の学長からも“教育研究費削減”に対して大きな声が上がっている状況がある。
 また、小出局長は、26日に民主党の幹事長室にも私学への理解を求める要請を行った(別掲参照)ことなど、要請活動を説明した上で、理事それぞれの地元での知事、民主党議員等への要請を訴えた。
 引き続き、文科省の担当課長からは事業仕分け終了後の年末の予算編成までの流れの概略が説明された。なお、文科省は、もっかホームページで「世論の声」を募集しており、教育研究予算削減の流れへの民意を推し測っている。また、税の収入減によって、財政当局は厳しい査定を考えていることから、事業仕分けの対象にならなかった私学助成等の事業についても今後、削減があるのではないかと見られている。
 出席の理事からは「文科省はHPに寄せられた“民の声”を発表してほしい」「教育の将来的展望がさっぱり見えてこない」「地方の高等教育機関をしっかりさせないと国家が持たないのではないか」「教育分野の何もかも事業仕分けしようとするのは無理があり過ぎる」など多くの声が上がった。
 小出局長は「12月30日の閣議決定まで、一丸となって要求の満額実現めざす」と力を込めた。これらの対応の在り方については承認された。

情報公開の在り方など協議

 次に、中教審等に係わる審議動向と大学改革問題等への対応等について、小出事務局長が、情報公開をめぐる集中審議について、質保証システム部会での教育情報の公開、大学規模・大学経営部会での財務・経営情報の公開の議論が行われていることを説明。
 教育情報の公開については、文科省から「大学として公表すべき、又は発信を奨励すべき項目例」が示され、大学設置基準上の規定の整備、関係団体のガイドライン、情報提供のデータベース充実などについて議論されていること、また、財務・経営に関する情報公開については、学校教育法に定める学校として、公益を目的とする法人・団体として、公費が支出されている法人・団体として、それぞれ情報公開すべき現状があるとした上で、これら情報公開の促進方法としては@法令による一律の義務化、A国からの指針の提示及び自主的公開の働きかけ、B大学関係者による指針の作成及び自主的公開などが考えられるとの論点を説明した。
 なお、私大団体連では、日本私立短期大学協会とともに、このほど「大学法人の財務・経営情報の公開に関する調査研究会」を設置して、21年度末までに大学等の充実向上に資するような公開の在り方を検討していくことになっている。

研修会・支部総会の報告

 報告事項に移り、同協会評議員登録変えに伴う理事の欠員について、京都女子大学の前理事長・学園長の谷辰生氏から新理事長・学園長の芝原玄記氏に交替することが報告された。
 その他、去る11月11日から実施した就職部課長相当者研修会や北海道支部をはじめ関東地区連絡協議会、関西支部、中国・四国支部の総会の実施が報告された。
 報告事項の後には、600回を記念して大沼会長が「私立大学の変遷と針路」と題して記念講演を行った。(別掲参照)
 なお、議事終了後には、600回記念の懇親夕食会も開かれた。

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