平成21年11月 第2382号(11月25日)
■国際成人力調査進めてます
鈴木文科副大臣が協力呼びかけ
鈴木 寛文部科学副大臣は、11月19日の定例記者会見の中で、OECD(経済協力開発機構)が現在進めている成人対象のスキル調査(国際成人力調査)にふれ、改めて調査が円滑に行われるように協力を呼びかけた。
同調査は、PIAAC(Programme for the International Assessment of Adult Competencies)と呼ばれ、一五歳対象の学習到達度調査(PISA)の「成人版」とも言われている。
特徴は、@16〜64歳の一般成人が主対象、A一サイクル5年×三回分の国際調査計画、BICTを使った個別訪問調査、C三つの調査モジュール(直接評価・職務要件アプローチ・背景質問票)、D参加国会議がOECD事務局の協力のもと実施する国際的な共同運営方式、E若年層と高年層のオーバーサンプリングも選択可能、という六点。
主な目的は次の四つ。
今日の社会で求められる力(知識やスキルだけではなく、動機や行動特性を含む。コンピテンシー)を特定し、その力を各国の成人がどの程度有しているかのデータを収集すること。
個人の力が、本人の社会的成功にどの程度関係するか、また、国の経済的な成長など、社会全体としてどのような成果を生むかを検証すること。
現在の教育訓練制度が、社会が求める力を身につける上でどの程度の効果をあげているか検証すること。
今日の社会が求める力を向上させるには、どのような政策手段が有効であるかを明確にすること。
調査の対象は、無作為に抽出された日本国在住の16歳以上65歳以下の男女個人。
調査項目は、日常生活の中で想定される様々な状況において、言語や図表であらわされた情報を理解し、活用する力を測定するもので、次の三分野。
読解力(リテラシー):社会に参加したり、個人の目標を達成したり、個人の知識や潜在的な力を向上させるために、文章や図表を理解し、評価し、活用する力
数学力(ニューメラシー):日常生活における様々な場面において、必要となる数学的な情報や考え方を検索し、活用し、解釈し、伝達する力
ITを活用した問題解決能力:デジタル技術、通信手段、ネットワークを用いて情報を収集し、評価し、他の人とコミュニケーションをし、現実の課題を成し遂げる力
また、これらの力がどのように形成され、あるいは失われていくかを検証するため、職場でどのようなスキルが求められているか、学歴、職歴、収入、学習活動への参加状況などを尋ねる属性調査を行う。
国立教育政策研究所が同調査の国内実施機関となっている。日本のほか、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、韓国、オーストラリア、カナダ、フィンランドを含む25カ国がこの調査に参加している。