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平成21年11月 第2382号(11月25日)

私大団体連
  日本語教育連絡協議会を開催
  「留学生30万人計画」と留学生別科の在り方
  文科省・法務省・外務省の留学生支援など

 日本私立大学団体連合会(白井克彦会長)の日本語教育連絡協議会(座長=森田嘉一京都外国語大学理事長・総長)は、去る11月20日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において、加盟59大学から29大学47名が出席して、「留学生30万人計画と私立大学留学生別科〜留学生別科のこれからを考える〜」をグランドテーマに、第一部=留学生支援の現状と課題では、文科省のほか法務省、外務省の各関係担当官の発表、第二部=事例報告・情報交換(グループ)では活発な議論等が行われ、その後、各グループでの意見まとめが発表された。協議終了後には懇親会が開かれ、留学生に関わる有意義な情報交換が行われた。

 はじめに同連合会の国際交流委員会委員長でもある森田座長から「留学生30万人計画がどのような先行きになるのか、目下のところ予算概算要求の事業仕分け中であり判然としない。しかし、グローバル化の中で留学生の拡充は必要であり、留学生別科の存在意義について確認し合いたい。このたびは趣向を変えて、文科省、法務省、外務省の担当官からそれぞれのご専門の話を聞くことにした」との開会の挨拶があった。
 協議に先立ち、報告事項として、新たに同協議会に加盟した摂南大学、神戸国際大学、中部学院大学の三校が紹介され、暖かい拍手で迎えられた。
 協議に入り「第一部・留学生支援の現状と課題」については、国際交流委員会の岸澤輝明委員(拓殖大学国際部長)のコーディネートの下に、文科省高等教育局学生・留学生課留学生交流室の田頭吉一室長補佐、法務省入国管理局入国在留課の菅野典子法務専門官、外務省広報文化交流部人物交流室の伊藤千恵子課長補佐が、それぞれ留学生支援の現状等を発表した。
 文科省の田頭氏は「政権が変わって30万人計画がどうなるのか心配されていることと思うが、政府は留学生の受入・派遣は拡大するとの見解を示しており、30万人という数字はともかく、この計画に沿って政策を進めていきたい」と述べた上で、日本留学試験の拡充改善、留学生宿舎の確保、就職支援など概算要求における予算措置を考えていることなどを説明した。
 法務省の菅野氏は、過去五年間の新規入国者数(在留資格「留学」と「就学」)の増加傾向をはじめ、外国人登録者数、不法残留者数(減少傾向にある)などの変化をグラフ等で詳細に解説した。また、入管法改正に伴う留学生・教育機関に関する在留カードの交付、留学生による退学・卒業の届出、在留資格「留学」と「就学」の一本化などの主な事項、入管法施行規則改正の概要、留学生の卒業後の就職活動期間の伸長(今年4月から最長一年)などについて説明した。
 外務省の伊藤氏は、日本への留学前の施策としての▽留学情報の提供・広報、▽国費留学生の募集・選考(在外公館での筆記・面接試験実施など)の見直し。また、留学中の施策としての▽各種経済協力スキーム、▽アセアン私費留学生対策等拠出金などを説明。さらに、帰国後の施策としての▽帰国留学生会の組織化支援、▽「もと日本留学者の集い」の実施など、親日家になってもらうように留意して施策を展開していることを強調した。
 三人の発表を受けて、コーディネーターの岸澤氏によるフロアとの質疑も行われた。
 「第二部・事例報告・情報交換(グループ)」では、@麗澤大学の正宗鈴香氏、A同志社大学の平 弥悠紀氏と長澤慶幸氏がそれぞれの大学の取組みを報告した。
 麗澤大学の正宗氏は、外国人留学生と日本学生が協働し、お互いに学び合う授業形態とし、様々な文化背景を持つ者が混ざり合うことで得られる相互理解を目的として2001年度から実施している「混成クラス」の導入について紹介するとともに、その「混成クラス」を支える「活動する中での気づきを大切にする」「外国人留学生と日本人学生が学ぶものは違うというスタンスで展開する(使用言語、その環境によって異なる)」という理念を明示した。そのほか二つの目的別混成クラスについても触れた。
 同志社大学の平氏、長澤氏からは、日本語と日本文化の教育に重点を置いて授業研究(教材開発)を行うとともに、地の利を生かした日本文化の授業を行っていること。また、初級前半から超上級まで八つのレベルのクラスを用意し、多様な留学生のレベルに対応できるようにしていることを紹介した。そのほか、具体的な「語い」(副詞・形容詞・動詞・慣用句等)の練習問題、会話の練習問題などの労作のオリジナルテキストを紹介した。
 続いて、情報交換(グループ)では、A班(組織・運営関係)、B班(教育内容関係〈予備教育型〉)、C班(教育内容関係〈スタディ・アブロード型〉)、D班(学生生活関係)の四班に分かれてそれぞれ情報交換が活発に行われ、グループごとに報告された。
 なお、協議終了後の懇親会では、留学生に関わる情報交換が行われた。

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