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平成21年11月 第2381号(11月18日)

武蔵野音楽大学管弦楽団
  ハンガリー公演(報告)

 本年は、ドナウ川を共有するオーストリア、ハンガリー共和国、ブルガリア共和国、ルーマニアの四カ国が、それぞれ日本との国交の節目を迎える年にあたります。わが国外務省は「日本ドナウ交流年2009」と定め、関係省庁、関係団体がさまざまな記念事業を行っています。
 武蔵野音楽大学は、これらの国のうち、特にハンガリー共和国とは縁があり、半世紀に約100人もの客員教授を迎えています。そんな関係からかと推測されますが、昨年、駐日ハンガリー共和国ボハール特命全権大使が本学の学長を訪ねられ、記念行事として、本学とリスト音楽院のオーケストラの交流の誘いを受けました。
 そこで、本学のオーケストラが、去る9月20日から30日までハンガリーに赴き、ブダペスト、ペーチ、デブレッツェン、ジュール、タタバーニャの五の都市で演奏会を開き、いずれの会場も学生たちの情熱溢れる演奏に大きな反響を呼び大成功を収めました。
 最初のブダペスト・リスト音楽院大ホールでの演奏会では、開演に先立って、バッタ・リスト音楽院長、伊藤在ハンガリー特命全権大使、福井武蔵野音楽大学学長、バローグ・ハンガリー共和国教育文化省副大臣からそれぞれ日本・ハンガリー国交回復五〇周年を記念する国際交流事業の意義について挨拶がありました。演奏のプログラムは、ハンガリーの代表的な作曲家リストの「レ・プレリュード」、同じく同国を代表する作曲家コダーイのオペラ「ハーリ・ヤノッシュ」から“ドナウの彼方”と「セーケイ地方の紡ぎ部屋」から“チタール山脈のふもとには”の二重唱曲、チャイコフスキーの「交響曲第6番ロ短調〈悲愴〉」などでした。アンコールで演奏した外山雄三の「ラプソディ」の“八木節”は、和太鼓やちゃんちきなどを取り入れた日本民謡を素材として作られたオーケストラ曲で、観客の興味が一層高まり、大きな拍手を頂きました。
 さらに、日本・ハンガリーの国際交流の意義を高めるため、指揮者には、ハンガリー人で本学の客員教授であるカールマン・ベルケシュ氏、オペラの二重唱は、リスト音楽院を卒業したばかりの若き声楽家クララ・ヴィンチェ(ソプラノ)とダニエル・パタキ=ポチョク(テノール)で歌い、ピアノ協奏曲のソリストには、日本とハンガリー双方のピアニストが交互に務めました。
 最後のタタバーニャ市での公演終了後には、市長主催のレセプションを開いてくださり、副市長による歓迎の挨拶やお土産の交換のセレモニーなどが行われました。学生たちは、立派に責任を果たしたという満足感もあってか、地元の方々と積極的に交流をしており、演奏に加えて国際交流の実績を挙げることができたと思っています。
 この度の演奏旅行は、ブダペストを拠点として、毎日、各都市へバスで移動してコンサートを開くという方式で行われましたので、素晴らしいハンガリーの大平原を楽しむことができました。
 また、演奏旅行で驚いたことは、演奏後の拍手です。演奏が終わると、拍手が沸きますが、10数秒すると全員の拍子がパチ・パチ・パチとあたかも運動会の応援のような拍子になります。このリズムは、音楽でいうとアッチェレランドです。ある程度早くなると、テンポを落とし、同じような拍手を何度も繰り返します。これには私たちにとっては、何とも不思議に感じられました。
 今回の本学の演奏旅行のマネジメントは、全てリスト音楽院が担当してくれました。その対応は、日本人と同じ感覚でとても快適でした。
 このように、この度の本学管弦楽団のハンガリー公演は、大変充実したものとなり、記念事業の任務を果たすことができたと考えています。
(武蔵野音楽大学 池田)

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