平成21年11月 第2381号(11月18日)
■全私連
高井文科大臣政務官と懇談会で意見交換
多様な私学の果たす役割など強調
全私学連合(白井克彦代表)は、去る11月10日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において、拡大会長会議を開き、文部科学省の高井美穂大臣政務官と懇談し、民主党の施策の方針を聞くとともに私学側の予算要望に関わる考え方などについて意見交換した。
はじめに、白井代表は、「新しい政権に期待していること、また、よくわからないことなど、我々の思いは複雑である。政府の現在の状況、考え方をお話しいただいて、大事な人材育成を担う“教育”にとって「必ずやいいことが起こるだろう」との思いで、今後とも文科省と協力していきたい」などと挨拶した。
次に、平成22年度の文科省の予算概算要求の主要事項について、河村潤子私学部長が「事項要求」となっている「医師不足解消のための医師等養成と大学病院の機能強化」、「大学奨学金等の充実(授業料減免も含む)」などについて事業内容を、また、私学助成の「私立学校施設・設備の高度化・高機能化(耐震関係など)の支援」などについて解説した。
高井大臣政務官は、「我が国の教育に尽力されていることに感謝し、大いに意見交換させていただきたいと思っている。教育は人を育てることで、“コンクリートから人へ”の視点からも最も大事だと考えている。多くの問題に取り組んでいるが、思った以上に厳しい声もある。今後とも皆さんの声に耳を傾けていきたい」と挨拶した。
次に各私学団体役員等からは、次のような考え方や取組みなど私立学校の果たす役割等について意見発表があった。
●全日本私立幼稚園連合会=欧米諸国や韓国では幼稚園の無償化が実現しており、我が国でも保護者の負担軽減策の一層の充実、さらには幼児教育の無償化が求められる。
●日本私立小学校連合会=私立小学校は独自の特色ある教育の実践が期待され、初等教育の先駆的教育活動が評価されている。
●日本私立中学高等学校連合会=子供たちの個性や能力に応じた多様な学校教育が望ましく、将来の国民育成に繋がる。
●日本私立短期大学協会=地方小都市にも立地する利点を活かし、地域社会に大きく貢献している。
●日本私立大学団体連合会=私立大学は大学教育の約八割を担う国家の基幹となる教育機関。高等教育への公財政支出の拡充(OECD比較)及び私費負担を減ずるための国費負担等の格差是正により、教育の質の向上と機会均等をめざす。
各団体の発表を受けて、意見交換に移り、高井大臣政務官からは、特に教育格差等に関連した高校無償化等について、「家庭の経済力による格差により“教育を受ける権利”を持てない子供がいる。まず高校の無償化の思いから施策を行う」と述べた上で、「長期的視点からは1〜2年かけて教員の質の向上や免許制度等にも取り組んでいく。教員養成課程については六年制と決めているわけではなく、養成をもう少していねいにしていきたいという思いであり、現在の教員免許更新講習は継続するが、更なる検討をし、新たな方向づけをしていきたい」などと語った。また、幼保一元化には「就学前教育等、中低所得者の負担が重くならないようにもしていきたい」との考えを示すとともに、「鳩山首相からは『できるだけ現場の意見を吸い上げるように』とも言われている。今後ともご提言いただきたい」と語った。
そのほか、「国立大学法人運営費交付金」に関わる見直しが事業仕分けに挙げられていることもあり、今後は教育全体のことをしっかりと理論武装して、教育関係者全体の「考え方」を社会に示していくことも必要となるのではないかとの白井代表の言葉で終了となった。