Home日本私立大学協会私学高等教育研究所教育学術新聞加盟大学専用サイト
教育学術オンライン

平成21年11月 第2380号(11月11日)

伊能地図復元全国巡回展小百科
255枚

 伊能忠敬の日本測量開始210周年を記念した「完全復元伊能図全国巡回フロア展」が一足早く11月6日から8日まで、さいたま市の与野体育館で開催された。
 地元紙の埼玉新聞創刊65年を記念して開かれた。会場の与野体育館の床面には縦2メートル、横1メートルの塩ビ製のパネル255枚が敷き詰められた。
 この地図の上を老若男女の見学者がゆっくり歩いたり、立ち止まって座り込んで見たり…の光景が展開された。みんな真剣な表情で、顔と地図がぶつかるほど接近して見る人もいた。
 忠敬が作成した日本地図は、総称して「伊能図」といわれる。分類すると「大図」(1/36,000:214枚)、「中図」(1/216,000:8枚)、「小図」(1/432,000:3枚)で、大図一枚の大きさはほぼ畳一枚。
 さて、なぜ、与野体育館に敷き詰められた「伊能図」は255枚だったのか。
 「伊能図」は、明治から大正にかけて火災や関東大震災などで多くが焼失。その後、国内外で副本や模写図が発見された。民間の研究団体「伊能忠敬研究会」が復元に立ち上がった。
 実際に、復元作業を行ったのは、「日本写真印刷株式会社(京都市)。伊能研究会名誉代表の渡辺一郎が復元を振り返る。
 「副本や模写図などを基に、原寸大の伊能大図を復元しようと日本写真印刷に依頼、最新の技術を使って二年越しで、ほぼ原形に近い形で復元できました」
 渡辺のいう「ほぼ原形に近い形」というのが、縦2メートル、横1メートルのパネル「255枚」(塩ビ製)になったわけである。
 「公開のさいには、地図の上を歩いて伊能の偉業をぜひ体感してほしい」という渡辺の熱い願いは、与野体育館で実現した。来年四月から全国各地で、こうしたロマンあふれる光景がみられる。

Page Top