平成21年11月 第2380号(11月11日)
■大学と共同研究65%
企業の研究活動調査
科学技術政策研究所(和田智明所長)は、去る11月6日、平成20年度の民間企業の研究活動に関する調査報告をとりまとめた。このたびは、近年の合併・買収(M&A)が研究開発活動に及ぼす影響、オープンイノベーションの推進方法の一つとされる共同研究開発の実施状況などを明らかにした。集計企業数は1154社(33.7%)。調査結果は次の通り。
過去三年間に売上高が10%以上増加した企業のうち半数は研究開発費を10%以上増加させており、また研究開発費を10%以上増加させている企業では、イノベーションを実施する割合も高くなっている。
イノベーション実施企業の割合は、競合企業数が多いほど高くなっているが、競合企業数が20社以上になると停滞する。これは、競合企業の存在がイノベーションを刺激するが、競争が過度になると逆に停滞することを示唆している。
2005年までの三年間に行なわれたM&Aのうち、「研究開発力の強化」がその理由とされたのは16項目中7番目。しかし、M&A実施から二年後の決算時に研究開発費を10%以上増加させた企業は17%であった。
過去三年間で大学等と共同研究開発等を実施した企業は65%で、その主な理由として「研究開発力・技術力の向上」と「社内にない技術知識・設備の活用」が挙げられる一方、「自社の技術領域に見合う研究相手が存在しない」ことが主な不実施理由として挙げられた。製品・サービスに関する何らかのデザイン活動は、67%の企業で実施されていた。