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平成21年11月 第2380号(11月11日)

中退率卒業率など公表の必要性審議
  質保証システム部会で文科省が項目例

 中央教育審議会大学分科会の質保証システム部会(部会長=黒田壽二金沢工業大学学園長・総長)は、去る11月5日に第9回会合を開き、大学教育力の向上に係わる教育情報の公表について審議した。
 大学教育に関する情報の公表については、社会貢献や社会への説明責任の観点から、学校教育法及び大学設置基準に規定されている。併せて、大学における自主的・自律的な質保証の取組に関しても、人材養成目的のほか、授業の方法・内容、年間授業計画、成績評価基準、卒業認定基準の学生への明示、自己点検・評価結果の公表などが規定されている。
 なお、国立大学法人・公立大学法人に関しては、国立大学法人法・地方独立行政法人法において、業務方法書や中期計画の公表、財務諸表、事業報告書等を一般の閲覧に供することが規定されている一方、学校法人に関しては、私立学校法により、財産目録、収支計算書、事業報告書等を利害関係人の閲覧に供することが規定されている(大学規模・大学経営部会で審議)。
 当日は、各大学の強みや特色を対外的に発信するとともに、情報に接した外部からの適切な評価を得ることによって教育水準の向上が図れるとの観点から、文科省の事務方から、国公私立大学に公表を義務づける教育情報の諸項目を盛り込んだリスト案が示された。
 大学として公表すべき、又は発信を奨励すべき教育情報の項目例は、@何を学ぶことができるのか(教育の目標・内容・成果)が最も重要であり、A学生、B組織、C経済的枠組み、D学修支援・学習環境に関する情報も必要であるとし、これら五つに係る公表すべき情報事項として次の17項目を挙げた。
 @何を学ぶことができるのか
 【教育の目標】▽学部・学科・課程、研究科・専攻ごとの人材養成目的。▽学科、専攻ごとの取得可能な学位、修業年限。
 【教育の内容】▽学科、専攻ごとの教育課程の考え方。▽修得が期待される知識・能力体系(学生がどのようなカリキュラムに基づいて、どのような知識・能力を身に付けることができるかを明らかにする)、授業科目の名称、授業科目の年間シラバス、担当教員名、教育研究実績(教員の保有学位等、教育を担当するのにふさわしい教育上の能力など)。
 【教育の成果】▽学科や専攻ごとの学修の成果に係る評価の基準。▽卒業の認定の基準。
 Aどのような学生が学んでいるのか
 ▽募集単位、入学者選抜方法ごとの入学者に関する情報=入学に関する基本的な方針、受験者数、合格者数、入学者数、入学定員、編入学定員など。▽学部や研究科ごとの在学者に関する情報=在学者数、収容定員。▽卒業者に関する情報=就職率(進学率)、学生の卒業後の進路(主な就職分野)、卒業率、学修継続率(中退率)。
 Bどのような組織なのか
 ▽大学の基本的な情報=大学の名称、大学の主たる所在地、大学の連絡先、大学の設置趣旨・特色、学則など。▽教員組織、教員数。▽教員以外の組織。
 Cどのような経済的枠組みとなっているか
 ▽授業料、入学料その他の費用徴収に関する情報。▽奨学金、授業料減免を含めた就学支援に関する措置の情報。
 Dどういう学修支援・学習環境が提供されているか
 ▽履修指導、メンタルヘルス等学修及び学生生活支援に関する情報。▽「就職指導(キャリアガイダンス)」に関する情報。▽施設・設備等の教育環境(キャンパス)に関する情報=校舎面積、図書館設備、その他施設設備。
 そのほか、情報発信を奨励すべき項目として、@公益活動を行う社会的存在として、どのような活動をしているのか、A海外とどのような交流を行っているのか、などにも言及している。
 当日の審議では、これらの事項そのもののほか、大学設置基準等における規定の整備や中教審や関係団体等が策定するガイドラインの在り方、また、情報提供するためのデータベースの在り方などについて審議し、年内に更に議論を深めることにしている。

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