平成21年11月 第2379号(11月4日)
■概算要求
グリーンイノベーション推進
22年度 文部科学省研究3局
文部科学省は去る10月、財務省に平成22年度概算要求を提出、その詳細を取りまとめた。研究三局(科学技術・学術政策局、研究振興局、研究開発局)の概要は次の通り。民主党が掲げる「2020年までに1990年比で温室効果ガス25%削減」を実現すべく、研究開発分野では「グリーンイノベーション」として低炭素化技術等の開発が大幅に増額となった。カッコ内は前年度予算との増減。▲は減。
一、グリーンイノベーションを目指した研究開発―125億3200万円(88億7800万円)〜人文・社会科学も含め総合的に革新的環境技術開発を推進し、鳩山イニシアチブを実現〜
▽先端的低炭素化技術開発:35億円―鳩山イニシアチブ(1990年比で2020年までに温室効果ガス25%の削減)の達成、その後の更なる温室効果ガスの削減に向けて、低炭素社会の実現に必要な革新的技術の研究開発を行なう。
▽気候変動に伴う環境変化への適応に関する研究開発:40億8000万円―高精度な地球温暖化予測結果に基づき、地球温暖化に伴う異常気象による影響に対応する研究を行なう。
▽低炭素社会実現のための社会シナリオ研究:3億円―産業構造、社会構造、生活様式等の相互連関や相乗効果の検討等を行い、低炭素社会実現に向けた研究開発の方向性等を提示する。
二、成長の源泉となる「基礎科学力」の強化:3076億3100万円(138億2800万円)
?基礎研究の充実〜オバマ政権による「アメリカ史上最大規模の基礎研究投資の増加」などを踏まえ、10年間で基礎研究への投資を増倍〜
▽科学研究費補助金:2000億円、▽戦略的創造研究推進事業:505億4900万円、▽戦略的基礎科学研究強化プログラム(仮称):20億円
?次世代スーパーコンピューティング技術の推進〜国家に必要な最先端IT技術の獲得と科学技術の飛躍的進展を目指して〜
▽次世代スーパーコンピュータ:267億5900万円(77億2600万円)
?独創的創造的人材育成〜将来の科学技術をリードする人材層を育む学校を五年で倍増(7億4800万円)
▽スーパーサイエンスハイスクール支援事業:22億3500万円
三、将来を支える科学技術人材の育成・確保:448億600万円(50億円)
▽特別研究員事業:116億4000万円―優秀な博士課程学生が主体的に研究に専念できるよう支援。
▽若手研究者の自立的研究環境整備促進:107億4000万円―テニュア・トラック制に基づく若手研究者に自立と活躍の機会を与える仕組みの導入を支援。
▽ポストドクター等の参画による研究支援体制の強化:9億5300万円―特色ある優れた研究活動を行う大学等においてポストドクター等の高度専門人材の参画による研究マネジメント・技術支援体制の強化を図る取組を支援する。
四、科学技術外交の戦略的推進:160億9400万円(5億3700万円)〜地球規模課題の解決への貢献や先端科学技術分野での国際協力推進等、科学技術の国際活動を戦略的に推進
▽地球規模課題対応国際科学技術協力事業:21億2700万円
五、世界の頭脳獲得のための知的拠点形成等:254億7200万円(▲42億700万円)〜大学や研究機関の研究力を強化し、科学技術の力で世界をリード
▽世界トップレベル研究拠点プログラム:93億1200万円
六、健康長寿社会の実現のための鍵となる再生医療、がん対策、認知症克服などに関する最先端の研究開発を推進
▽再生医療の実現化プロジェクト:28億円、▽がん・生活習慣病等克服のための先端医科学研究開発イニシアティブ:51億2700万円、▽脳科学研究戦略推進プログラム:24億円
七、我が国の成長力強化に資する技術基盤の確立:517億6500万円(▲50億4200万円)〜大型設備の整備・共用〜ナノから原子・素粒子レベルにおける先端的な研究基盤施設の整備・共用を促進
▽大強度陽子加速器施設:153億2000万円、▽大型放射光施設:85億8900万円、▽X線自由電子レーザー:48億3900万円
八、産学官連携・地域科学技術の振興:460億2300万円(▲21億8100万円)〜研究成果の技術移転、大学発ベンチャーの創出・育成等を推進するとともに、地域の大学等を核に事業ニーズ等を踏まえた産学官共同研究を推進
▽産学官民連携による地域イノベーションクラスター創成事業(仮称):15億円、▽知的クラスター創成事業:79億4200万円、▽産学官連携戦略展開事業:28億8100万円
九、大型国家プロジェクトの推進:4744億3300万円(▲135億3200万円)
@宇宙開発〜宇宙基本計画に基づく宇宙開発利用等を推進:1931億1600万円、A原子力〜高速増殖炉サイクル技術や核融合エネルギー等の原子力研究開発・利用を推進:2258億7100万円、B南極観測、海洋・地球科学技術、地震・防災に関する研究開発を推進:554億4600万円