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平成21年10月 第2378号(10月28日)

新刊紹介
  卒業旅行に必読
  「銀幕風景」
  川本 三郎 著

卒業する学生にとって、卒業旅行シーズンがまもなくやって来る。出かける学生には、ぜひ読んで欲しい本。読めば、視野が広がり、旅行の楽しみが倍増するはず。
 著者の姿勢は揺るがない。〈子供の頃、「シェーン」に夢中になったのは、アラン・ラッドの孤高の姿や早撃ちの魅力もさることながら、あの広大な草原と、雪をかぶった岩山の風景に圧倒されたからではなかったか。映画は風景と共にある〉
 丁寧なつくりの本。新旧のアメリカ映画 36作、ヨーロッパ 31作、アジア 18作のそれぞれの風景を著者の「映画のことは川本に聞け」といっていい博識、そして、わかりやすく精緻で的確な描写に引き込まれる。索引に7頁も割く。
 ついつい、川本の思いと重なってしまう。〈「過去をもつ愛情」がいまだに好きなのは、フラソワーズ・アルヌールの美しさもさることながら、リスボンの石畳の坂道に惹かれてしまうからではないか〉
 先日、邦画「アマルフィ」の舞台で関心を呼んだ伊・アマルフィを訪れた。映画「アマルフィ」といえば、「理想の人」(2004年、スペイン、伊、英、ルクセンブルグ、米)だそうだ。〈オスカー・ワイルドの戯曲『ウィンダミア卿夫人の扇』)を映画化、「世界でいちばん美しい地(アマルフィ)」の恋の物語〉
 川本は、近刊「東京人」(09年11月号)に「映画の中の東京」を寄稿。〈昭和2、30年代の懐かしい風景を映画のなかで発見する。ひそかに心ときめく、近過去への時間旅行〉。
 こっちは大学生の祖父母向けか。川本の〈映画は風景と共にある〉は思想に近い。二冊とも家族三世代の読書に充分に耐えうる。

 「銀幕風景」
 川本三郎著
 新書館
 03−5970−3840
 定価2000円+税

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