Home日本私立大学協会私学高等教育研究所教育学術新聞加盟大学専用サイト
教育学術オンライン

平成21年10月 第2378号(10月28日)

就活の早期化是正へ
  大学「申合せ」・企業「倫理憲章」を遵守

 平成23年3月の大学等卒業予定者のための就職・採用活動について、10月20日、大学側(就職問題協議会)の「平成22年度の「申合せ」」と企業側(日本経済団体連合会)の「倫理憲章」がそれぞれ定められ、大学側、企業側の双方が遵守し、相互に尊重して就職・採用活動を行うことが確認された。これを受けて、文部科学省の鈴木 寛副大臣は、国公私立大をはじめ、国公私立短大、国公私立高専に対して「平成22年度大学、短期大学及び高等専門学校卒業予定者の就職・採用活動について」の通知を発出した。

大学側「申合せ」:学校推薦
原則として7月1日以降

 一、就職・採用活動の早期化是正について
 (1)就職・採用活動の早期化是正について=学校教育上重要な時期である卒業・修了年次当初及びそれ以前は、学内及び学外で企業が実施する採用選考のための「企業説明会」に対して会場提供や協力を行わない。
 一方で、企業が実施する企業情報等の発信を目的とした採用広報のための説明会等を実施する場合は、その後の選考に影響しないことを学生に対して明示する。また、この趣旨を踏まえ、学生に対する就職指導を適切に行う。
 (2)学校推薦の扱いについて=学校推薦は、原則として7月1日以降とする。
 (3)正式内定開始について=正式内定は、10月1日以降である旨学生に徹底する。正式内定に至るまでの間においては、複数の内々定の状態が継続しないよう、学生を指導するとともに、9月30日以前の内々定は学生を拘束しないものである旨徹底する。
 二、就職・採用活動の公平・公正の確保について
 (1)採用情報の開示について=インターネットによる採用情報の公開や通年採用の拡大等に鑑み、求人依頼文書の発送、求人票の受理及び公示の時期は、各大学等の自主的判断によって行う。
 (2)学生の応募書類について=学年の応募書類は、「大学等指定書類(『履歴書・写真・自己紹介書』、『成績証明書《卒業見込証明書を含む》』)」とし、企業に対して、就職差別につながる恐れのある項目を含む「会社指定書類」《エントリーシート等を含む》、『戸籍謄(抄)本』、『住民票』等の提出を求めないよう要請する。
 (3)男女雇用機会均等について=採用活動は、男女雇用機会均等法及びその指針の趣旨に則って行われるべきであり、その旨を企業側に徹底するよう要請する。特に、総合職採用における女子学生への配慮を要請する。
 三、その他の事項
 (1)職業観や勤労観の涵養について=学生個々人の個性や適性に応じた職業を学生自ら選択できる能力の育成や学習意欲を高めるため、学生の職業観や勤労観を涵養することは重要であり、大学等においては正課教育としてのキャリア教育やインターンシップを推進する。
 (2)「申合せ」の周知について=各大学等は、学内の教職員はもとより、学生への周知徹底を図るとともに、企業等に求人依頼文書を発送する際、この「申合せ」を添付し、その趣旨の理解を図る。

企業側「倫理憲章」:正式内定
10月1日以降を遵守

 企業は、大学卒業予定者・大学院修士課程修了予定者等の採用選考にあたり、次の点に十分配慮しつつ自己責任原則に基づいて行動する。
 一、正常な学校教育と学習環境の確保
 在学全期間を通して知性、能力と人格を磨き、社会に貢献できる人材を育成、輩出する高等教育の趣旨を踏まえ、採用選考活動にあたっては、正常な学校教育と学習環境の確保に協力し、大学等の学事日程を尊重する。
 二、選考活動早期開始の自粛
 卒業・修了学年の学生が本分である学業に専念する十分な時間を確保するため、選考活動の早期開始は自粛する。まして卒業・修了学年に達しない学生に対して、面接など実質的な選考活動を行うことは厳に慎む。
 三、公平・公正な採用の徹底
 公平・公正で透明な採用の徹底に努め、男女雇用機会均等法に沿った採用選考活動を行うのはもちろんのこと、学生の自由な就職活動を妨げる行為(正式内定日前の誓約書要求など)は一切しない。また大学所在地による不利が生じぬよう留意する。
 四、情報の公開
 学生の就職機会の公平・均等を期すとともに、落ち着いて就職準備に臨めるよう、企業情報ならびに採用情報(説明会日程、採用予定数、選考スケジュール等)については、可能な限り速やかに、適切な方法により詳細に公開する。
 五、広報活動であることの明示
 企業情報、採用情報等の発信を目的とした広報活動は、その後の選考に影響しないものであることを学生に明示するよう努める。
 六、採用内定日の遵守
 正式な内定日は、10月1日以降とする。
 七、その他
 高校卒業予定者については教育上の配慮を最優先とし、安定的な採用の確保に努める。

Page Top