平成21年10月 第2377号(10月21日)
■文部科学省概算要求
低炭素化技術開発に35億
鳩山イニシアチブ達成に向け
文部科学省は、平成22年度の概算要求を公表した。科学技術・学術関係では、文部科学大臣就任時の総理指示を踏まえ、「大学や研究機関の教育力、研究力を強化し、科学技術の力で、世界をリードする」に従い、我が国の科学技術力の強化に資する施策を展開。先端的低炭素化技術開発に35億円を新たに計上した。初等中等教育および科学技術・学術関係の概要は次の通り。(カッコ内は前年度予算と増減分、▲は減)
初等中等教育関係
〔初等中等教育の充実〕
▽義務教育費国庫負担金=1兆6380億円(▲103億円)。▽退職教員等人材活用事業―サポート先生の配置―=77億円(19億円)。▽教員免許制度の抜本改革=3億円(1億円):教員養成課程の六年生を含めた改革の調査等。▽大学における教員の現職教育への支援等=4億円(▲7億円)。▽スクールカウンセラー等活用事業=53億円(13億円)。▽コミュニケーション教育の拠点充実=1億円(新規)。▽幼稚園就園奨励費補助=209億円(5億円):低所得者への給付の重点化等の観点から、補助単価の在り方を抜本的に見直す。▽全国的な学力調査の実施=36億円(▲21億円):抽出調査(抽出率40%)及び希望利用方式に変更等。▽新型インフルエンザ対策の実施=1億円(新規):在外教育施設向け健康管理マニュアル等の整備。▽特別支援教育の推進=83億円(5億円):特別支援教育の体制整備を総合的に推進。▽高等学校に通学する離島出身の生徒に対する寄宿舎等居住費=6億円(新規)。▽外国語教育の充実=9億円(同)、▽外国人児童生徒教育の充実=3億円(同)。▽学校運営支援事業の推進(コミュニティ・スクール等)=4億円(▲2億円)。▽学校ICT活用推進事業=7億円(3億円)。▽公立学校施設の耐震化等の推進=1086億円(35億円)。
科学技術・学術関係
〔グリーンイノベーションを目指した研究開発〕=125億円(89億円):人文・社会科学も含め総合的に革新的環境技術開発を推進し、鳩山イニシアチブを実現
▽先端的低炭素化技術開発=35億円(新規):鳩山イニシアチブ(1990年比で2020年までに温室効果ガス25%の削減)の達成に向けた革新的技術の研究開発を行う。▽気候変動に伴う環境変化への適応に関する研究開発=41億円(18億円):集中豪雨など地球温暖化に伴う異常気象による影響に対応するための研究。▽低炭素社会実現のための社会シナリオ研究=3億円(新規):産業構造、社会構造、生活様式等の相互連関や相乗効果の検討等を行う等。
〔成長の源泉となる「基礎科学力」の強化〕=3076億円(138億円)
一、基礎研究の充実〜オバマ政権による「アメリカ史上最大規模の基礎研究投資の増加」などを踏まえ、10年間で基礎研究への投資を倍増〜:▽科学研究費補助金=2000億円(30億円):全ての分野にわたり、あらゆる学術研究を支援。▽戦略的創造研究推進事業=505億円(8億円):国が定めた戦略目標の達成に向けた目的指向型の基礎研究を推進。▽戦略的基礎科学研究強化プログラム(仮称)=20億円(新規):潜在能力の高い研究者をノーベル賞受賞者等が厳選し、長期(最長10年)にわたり、基礎研究を支援する等。
二、次世代スーパーコンピューティング技術の推進〜国家に必要な最先端IT技術の獲得と科学技術の飛躍的進展を目指して〜:▽次世代スーパーコンピューター=268億円(77億円):科学技術や産業を牽引するために不可欠な基盤として、世界最先端・最高性能のスーパーコンピューター開発を目指す等。
三、独創的創造的人材育成〜将来の科学技術をリードする人材層を育む学校を五年で倍増〜:▽スーパーサイエンスハイスクール支援事業=22億円(7億円):先進的な理数教育を実施する高等学校等を指定し、その取組みを支援。
〔その他主要事項〕
▽将来を支える科学技術人材の育成・確保:ポスドク等の若手研究者への支援強化(イノベーション創出の担い手となる若手研究者を支援)。
▽科学技術外交の戦略的推進:地球規模課題の解決への貢献や先端科学技術分野での国際協力の推進等、科学技術の国際活動を戦略的に推進。
▽世界の頭脳獲得のための知的拠点形成等:大学や研究機関の研究力を強化し、科学技術の力で世界をリード。
▽健康長寿社会実現に向けた研究の推進:健康長寿社会の実現のための鍵となる再生医療、がん対策、認知症克服等に関する最先端の研究開発を推進。
▽我が国の成長力強化に資する技術基盤の確立:大型設備の整備・共用〜ナノから原子・素粒子レベルにおける先端的な研究基盤施設の整備・共用を促進〜。
▽産学官連携・地域科学技術の振興:研究成果の技術移転、大学発ベンチャーの創出・育成等を推進するとともに、地域の大学等を核に事業ニーズ等を踏まえた産学官共同研究を推進。
▽大型国家プロジェクトの推進:@宇宙基本計画に基づく宇宙開発利用等を推進、A高速増殖炉サイクル技術や核融合エネルギー等の原子力研究開発・利用を推進、B南極観察、海洋・地球科学技術、地震・防災に関する研究開発を推進。